茅場(ススキ畑)づくりがスタート!「かやぶき古民家保存・再生プロジェクト」!

2017.12.21

  • 建築

2009年度から工学部建築学科の市川 尚紀准教授と学生たちを中心に行っている「かやぶき古民家保存・再生プロジェクト」で、2017年12月10日(日)、新たな取り組みをスタートしました。

それは、茅葺き屋根の材料となる茅("かや"とはイネ科の植物の総称で、近畿大学工学部のある広島県東広島市においてはススキを指します)を収穫するための土地「茅場(かやば)」を作る取り組みです。

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茅葺き屋根の家は夏は涼しく冬は暖かいエコ住宅という利点がある一方、家一軒の屋根を葺き替えるのには莫大な量の茅が必要で、 しかも、定期的に葺き替えのメンテナンスが必要なので、茅葺き屋根を保存していくというのは大変な労力とお金がかかるのです。

東広島市は全国的にも珍しく茅葺き屋根の民家が現存する地域なので、せっかくの貴重な文化遺産を保存し、後世にその技術も残していこうと取り組んでいるのがこのプロジェクトです。
これまでこのプロジェクトでは、実際に近畿大学工学部と同じ東広島市にある民家の屋根の葺き替えを4年がかりで行いました。(過去のプロジェクトの軌跡は関連記事からご覧ください)

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今後は自分たちが葺き替えるためだけでなく、地域に残る他の茅葺き古民家の修繕にも協力したいということで、今回新たに茅場を作るためにお借りしたのが東広島市志和町にあるこのススキ畑です。
ススキは刈って手入れをしてやることで次の年もより良いススキが生えてくるので、毎年刈取りが必要です。

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左の写真の奥の方、見渡せる範囲だけでも全てススキが生えています。土地の面積は約1ヘクタール!
しかも男子学生の背丈よりも高い立派なススキが生えていました。

当日は、時折小雨が降る生憎の曇り空の下での作業となりましたが、総勢約60人で、4時間程度作業を行いました。

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慣れない鎌の扱いに悪戦苦闘しながらも、経験者の先輩学生たちが中心となって、茅を刈取り、チガヤ(細くて柔らかい茅)でくくって束にし、乾燥させるためにボウトウ(茅塔)を作りました。
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こちらがボウトウです。

今回の活動は、以前から一緒に活動をさせていただき、学生への技術指導もしてくださっている「広島茅葺屋根工事店」代表で茅葺職人の沖元 太一様、そして、東広島市志和町にある「かやぶき屋根のちいさな図書室 ほたる荘」と協力して実施しました。

こちらは、学生らがボウトウづくりの際に必要な縄の結び方「男結び」を沖元さんに習っているところです。

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昼食は市川ゼミの4年生がロケットストーブを使って、豚汁や鯛めし、うどんなどを作ってくれました。
このロケットストーブは、その構造により燃焼効率がよく、少ない薪(竹や茅でも)ですぐに着火し長時間燃焼が続く上に、持ち運びも簡単、上に鍋を置けば煮炊きができるという優れものです。

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学生たちそれぞれが自発的に自分の役割を見つけ、何かできることがないか先輩に聞いたり、後輩に指導したりと協力し合っている様子は、さすが建築学科のチームワークの良さ!と感じました。

今回は、午後から雨が本降りになった関係で半分も刈り取れず、ボウトウは10基に留まりました。活動は今後も続きます。キャンパスブログでは、今後もこのプロジェクトの様子をお届けします!

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