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【論文発表】植物由来の「青薫(せいたい)」が自己免疫性膵炎患者の新規治療薬になり得ることに期待!

2024.04.02

植物由来の生薬青薫(せいたい)が自己免疫性膵炎患者の新規治療薬になり得ることに期待!

近畿大学医学部内科学教室(消化器内科部門)特命教授 渡邉智裕、特命准教授 鎌田研らを中心とした研究グループは、生薬青薫が自己免疫性膵炎の治療法として有望であるとの症例を経験し、その成果を学術誌Pancreatology誌に報告しました。
https://doi.org/10.1016/j.pan.2024.03.011

植物由来の生薬である青薫は、IL-10やIL-22などの炎症を抑えるタンパク質の量を増やし、炎症を鎮める効果があることが知られていました。実際に、青薫が大腸の免疫難病である潰瘍性大腸炎の治療に応用されており、青薫の有効性を評価した臨床試験でも有効性が確認されています。本研究グループはこれまでの研究にて、青薫が膵臓の免疫難病である自己免疫性膵炎患者に対しても有効であることを自己免疫性膵炎モデルマウスにおいて確認しており、その成果を英国免疫学会雑誌に2023年5月に発表しました。(https://academic.oup.com/cei/article/212/3/171/7145827
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記者会見する渡邉智裕 特命教授(2023年5月)

自己免疫性膵炎は厳密には1型と2型に分類され、2型は潰瘍性大腸炎の合併率が高いことが特徴です。そのため、研究チームは以前より、潰瘍性大腸炎を併発した2型自己免疫性膵炎症例ではとくに青薫による治療が奏功する可能性が高いのではないかと考えていました。今回、2型自己免疫性膵炎と潰瘍性大腸炎を同時に発症し、青薫が奏功した世界で初めての症例を経験し、この仮説を支持する結果が得られました。潰瘍性大腸炎を合併しない自己免疫性膵炎に対する青薫の有効性については、研究グループが行っている臨床研究の結果が待たれるところです。

研究チームの鎌田特命准教授は「自己免疫性膵炎の病態解明と新規治療薬の開発を目指して、引き続き研究を進めていきたいです。」とコメントしています。

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