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小児科学教室稲村昇先生の研究発表がThe International Society of Ultrasound in Obstetrics and Gynecologyにて紹介されました!

2020.02.19

小児科学教室 講師稲村昇先生の「妊娠12週の胎児頻脈診断におけるSTIC法の有用性」についての研究発表が、雑誌The International Society of Ultrasound in Obstetrics and Gynecology(国際産婦人科超音波学会(ISUOG)の公式雑誌)にて紹介され、論文の中の画像がPicture of the Monthtとして表紙を飾っています。

Picture of the Monthの表紙はこちら
ULUTRASOUND 55-2_20200206 (3).pdf


【研究発表概要】
症例は31歳妊婦の胎児。妊娠12週に近畿大学病院での妊婦検診中に心拍数300の頻脈性不整脈に気が付きました。近畿大学病院よりSTIC法で頻脈を記録し、当院に遠隔診断の依頼が届いたものです。 
送られた画像をコンピューター上で再構築し、WPW症候群による頻脈と診断し、症例は1週間後に当院を受診したが、不整脈は消失していました。

【STIC法とは】
特殊なエコー法で一定の断面を描出するとエコー装置が自動的に画像データを取り込むことができる。所要時間は数秒。この画像データはインターネット回線で送信でき、受診した側はパソコン上で送られてきた画像データを4次元画像に再構成が可能。再構成した4次元画像はパソコン上で色々な断面に変更することができるた、あたかも自分が直接エコー診断をしているのに等しい操作ができるものです。

【今回使用した方法】
胎児不整脈の診断にはMモード法という一定の画像の時間変化を調べる方法で心房と心室の動きの時間変化を診断しなければなりません。STIC法で送られた4次元画像からMモード法に変換することは可能ですが、心拍数300の頻脈の心房・心室の動きを診断するのは困難でした。ですが、カラー画像を付けたSTIC画像であれば心室、血管を行き来する血流も記録されています。この点に注目し、肺静脈を行き来するカラー画像と心室内を行き来するするカラー画像の時間変化をみることで心房と心室の動きに代わる診断を可能としました。
この方法による不整脈診断はこれまでに報告がありませんでした。
また、妊娠12週の胎児に不整脈の種類まで診断できたのは世界で初めての報告となっています。