2017年度文化資源学的アクティビティ(活動)紹介

2018.07.18

  • 文歴

◆和歌山の民俗調査2017(「民俗学実習」、担当:藤井弘章)

2017年度も2016年度と同じく、和歌山県紀美野町を訪れました。今年度も紀美野町の民俗に関するさまざまな聞き取りや体験をさせていただきました。志賀野地区では和歌山県職員の方にも来ていただき、イタドリ畑の手入れの手伝いをしながら、地元の農業や地域振興の取り組みについてお話をうかがいました。毛原地区では昨年に引き続きイノシシ猟の話をうかがいました。12月には西野集会所で餅つきの体験もさせていただきました。また、地元のりら創造芸術高等学校や和歌山県が調査しているハゼの原木も見学しました。ハゼの実はろうそくの原料として、江戸時代から昭和時代にかけて、この地域の大きな収入源となっていました。最近、りらの授業を通じて、ブドウハゼの原木が見つかったのです。伝統的な生業についての聞き取りを実施し、見学させていただくことで、これからの中山間地における地域振興についても考える機会になりました。今年度は担当の藤井のほか、文化・歴史学科の上田貴子先生も引率しました。また、非常勤講師の櫻木潤先生も同行してくれました。
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【年月日:2017年9月4日~6日、2017年12月26日~27日】


◆文化資源学自由研究 2017(「文化資源学自由研究」、担当:白水士郎)
「文化資源学自由研究」は、学生自身が自由に研究テーマを設定して、最後に研究成果を発表するという授業です。2017年度は、5人の学生が以下の課題に取り組み、発表をおこないました。
「地域ボランティア きらりプロジェクト  体験!勾玉づくり」を通して5名の学生は、自由研究のテーマとして、東大阪市の子育て支援を行なっている施設で、親子向け対象のイベントにおいて、「体験!勾玉づくり」を企画・開催し、歴史と文化資源を親しみやすく伝えました。その体験を年度末に大学の教室で、自由研究の実践報告として発表しました。
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【年月日:2018年2月8日】(大学での発表会)


「文化探索実習/文化活用・発信実習2017:パンフレット「東大阪の社叢と伝承─古社に残る信仰の景観を訪ねて」作成(担当:網伸也・藤井弘章・村田陽平・図師宣忠)
今年度の実習では神社の御神木と伝承に焦点を合わせて、学生とともに文化資源を探索し、「東大阪と中河内の文化資源4 東大阪の社叢と伝承─古社に残る信仰の景観を訪ねて」というパンフレットを作成しました。都市部において神社は緑が残る貴重な場であり、古の伝承を今に伝えるスポットとなっています。東大阪市内でもたとえば川俣神社の「椿の神木」や稲田八幡宮の「いちょうの神木」のように、御神木を祀り古くからの樹木を大切にしている神社があります。パンフレットでは、市内のいくつかの神社を対象として聞き取りを行い、フィールドワークの成果を紹介しました。
なお、作成したパンフレットは、東大阪市教育委員会社会教育部文化財課の委託を受けて発行しました。
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【年月日:2017年6月27日/11月14日】(フィールドワーク)


◆大阪の近世・近代建築の探索(「基礎ゼミ」、担当:図師宣忠、辻河典子)

西洋史に関心のある学生が中心に集まる2つの「基礎ゼミ」による合同のフィールドワーク。大阪市北区・中央区にある歴史的建造物(大阪市立中央公会堂、關一市長記念碑、適塾跡、大阪市立愛珠幼稚園、日本基督教団浪花教会、少彦名神社、生駒ビルヂング、綿業会館など)を巡りました。学生たちに事前に調べてもらったスポットでは、それぞれ担当した学生たちがガイド役となりました。現在この地域では残された近代建築を生かした「レトロ」な街並みによる観光資源化が進んでいます。「大大阪」として発展した近代の大阪の歴史を実際に歩いて振り返りながら、現在の街並みの中で古さと新しさの混淆がどのように私たちに視覚的に示されているのかを確認しました。
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【年月日:2017年6月11日】


◆東洋陶磁美術館特別展「ハンガリーの名窯 ヘレンド」見学(「西洋史講読ⅡA」、担当:辻河典子)

西洋史講読ⅡAの受講生と大阪市立東洋陶磁美術館での「ハンガリーの名窯 ヘレンド」展を見学しました。ヘレンドはハンガリー西部にある地方都市で、磁器の生産で国際的に知られています。展示の大半は19世紀から20世紀初頭にかけての作品でしたが、戦間期、社会主義期、体制転換後の作品にも目配りがなされ、ヘレンド窯の概要がわかりやすく紹介されていました。特に展示の前半はシノワズリが隠れたテーマであり、ヘレンドの作り手が参照した中国磁器が置かれている常設展と比較すると一層興味深い内容となっていました。学生からは大きさも異なる磁器を多数ハンガリーから日本まで輸送して日本国内を巡回していること自体に驚いたという感想もありました。ミュージアムとは学芸員のような専門的な知見と技術を持つ人たちが活躍する場であること、展示の企画はその専門性にもとづいて築かれた信頼関係をミュージアムが相互に持つことで初めて始まるのだということを考える機会になりました。
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【年月日:2017年6月3日】