工学のオモシロさを皆さんにお届けします!! てくたまラジオ近大工学部潜入レポート!! 全6回シリーズ

てくたまラジオ近大工学部潜入レポート

第5回 化学生命工学科の小森喜久夫先生の研究室に潜入!!

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今回は化学生命工学科の小森喜久夫先生の研究室に潜入します!

Q.ズバリ!先生はどんな研究をしているんですか?

「バイオ」の機能を使った計測や分析に関する研究をしています。「バイオ」には、「生命」や「生物」というような意味があります。

Q.その「バイオ」の機能を使って、どんな研究をしているんですか?

人の体の中にある物質や培養細胞が消費・分泌する物質を、電気シグナルに変換して検出するバイオセンサの研究をしています。

q.バイオセンサってどんなものですか?

私たちの体の中にある酵素や抗体は、特定の物質と反応します。つまりこれらの物質には認識機能があるんです。その機能を利用し、数ある物質の中から特定の物質にだけ現れる反応を電気シグナルに変換し検出するものがバイオセンサなんです。

Q.バイオセンサでどんな物質を計測するんですか?

例えば、人や動物のエネルギー源となるグルコース、花粉症などのアレルギー反応を引き起こすヒスタミン、発がんに関与しているとされる活性酸素種などが計測可能です。それにより、病気の原因の検出や、健康診断などにも応用できます。

炭素ナノ材料を使ったバイオセンサ用電極を検討中です

Q.なるほど。では、先生はどうしてこの研究をしようと思ったのですか?

高校生の頃、医療やエネルギーに関する研究がしたいと思っていました。大学で電気化学の分野と出合い、両方の分野が関連していることを知りました。そして、細胞を組み立ててミニチュアの組織を作る研究室に所属し、現在は、新たな分析法の開発を目指し、機械や電気の仲間と協力して研究を進めています。

Q.バイオセンサ開発で大変なことは何ですか?

体の中にはいろいろな成分が入っているので、それが邪魔します。その影響で、当初予定していたセンサを作っても、予想よりも電流値が低かったり、電流が出ないということがよくあります。

Q.バイオセンサの開発が進むとどんな未来が待っているのですか?

それぞれの人に適した医療、テーラーメード医療を受けることができるようになります。例えば、大窪さんにとって最適な薬を選択できたり、副作用を予測できたりするようになります。それを実現するには、大窪さんの分身を作ることが重要になってきます。

OH,MY GOD!

Q.分身を作る!?それってどういうことですか?

iPS細胞などからミニチュアの臓器を作り、それをセンサを組み込んだチップに配備し、そこに血液の代わりとなる培養液を流します。これが人間の分身になります。この分身を使って、薬剤を加えたときにどこに効くのか、副作用が出ないかということを、数値化して調べることができます。

Q.医薬品開発に大きな変化を生みそうですね。

医薬品開発には動物実験が使われていますが、動物には効くけど人間には効かないこともあります。逆に、動物には効かないが人間には効く薬剤もあるかもしれない。この研究が進めば、人間に有効な薬剤を効率よく絞り込むことができるようになります。将来的には、動物実験をしなくてもAIなどで医薬品開発ができる時代が来ると思います。

Q.最後に、10代にメッセージをお願いします!

好きなこと、興味のあることを見つけてください。見つからないときは、子どものときになりたかった職業を思い出すと、そこにヒントが隠れているはずです。そして、その仕事に就くためには、どうしたらいいか研究してください。もし、研究の仕方がわからなかったら、ぜひ大学に進学してください。大学は研究のしかたを学ぶところです!

小森研究室の学生の皆さんと

興味を持つことに飛び込めば、楽しい人生になりますね!

次回はロボティクス学科に潜入します。

NEXT GO!