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ニュースリリース

オオクチバスの環境適応力の高さを解明 近畿大学水産学科准教授・光永靖らの研究成果

2015年3月23日

近畿大学農学部(奈良県奈良市)水産学科准教授・光永靖(みつなが やすし)の研究グループは、特定外来生物であり、琵琶湖の生態系にも影響を及ぼすと考えられているオオクチバスについて調査を行ったところ、その環境適応力の高さが明らかになりました。

【研究のポイント】

●琵琶湖の生態系に影響を与える特定外来生物・オオクチバスの環境適応力の高さを解明
●オオクチバスの拡散防止はリリース(再放流)禁止が必須であることを確認

【研究の概要】

再放流を待つオオクチバス

本研究は、平成23年度(2011年度)から平成25年度(2013年度)にかけて滋賀県から委託を受けていた、「オオクチバス稚魚発生抑制研究」での成果の一部です。滋賀県では条例によりオオクチバスのリリース(再放流)が禁止されています。

今回、琵琶湖で特別に許可を得て、超音波発信機を体内に埋め込んだオオクチバスを、捕獲地点から離れた場所に移送し、放流しました。湖に設置した受信機によってオオクチバスの動きを追跡したところ、半数以上が捕獲地点に戻ってきた一方で、戻ってこなかった個体は再放流した場所にとどまることなく、他に住みやすい環境を見つけ、移動したことが判明しました。

これらの結果から、オオクチバスは新しい場所にもすぐに適応しうるため、拡散防止にはリリース禁止が必須であることが確認されました。

なお今回の調査内容につきましては、東京海洋大学品川キャンパスで行われる日本水産学会春季大会 にて、3月29日(日)11:00~15:00、光永らによるポスター発表が行われます(タイトル:「超音波テレメトリーによるオオクチバスの回帰・固執行動」)。

【研究の背景】

オオクチバスは北米原産の外来魚で日本各地に拡散しており、平成17年(2005年)環境省から特定外来生物に指定されました。

琵琶湖でも、昔から在来種(ニゴロブナやホンモロコ)を含む淡水魚の漁業が盛んでしたが、オオクチバスなどの外来魚による生態系への影響が懸念されてきました。滋賀県は琵琶湖の漁業者と協力し、電気ショッカーや刺し網による駆除を行っています。一方で、オオクチバスの行動特性については不明なところが多く、有効な拡散防止策には至っていませんでした。

【研究の詳細】

オオクチバスの捕獲・再放流地点

光永らは、捕獲したオオクチバス20尾(全長35~52cm)の体内に外科的手術で超音波発信機を埋め込み、捕獲地点から1km離れた同岸沿い、7km離れた同岸沿い、3km離れた対岸沿い、同じく3km離れた湖中央の4グループに分けて再放流しました(右図)。

湖に設置した受信機によってオオクチバスの動きを追跡したところ、再放流した20尾のうちの11尾が、最短で4日、最長で174日かけて捕獲地点に戻ってきました。一方で、捕獲地点と反対の方向に移動するものや対岸まで移動するものなど、捕獲地点に戻ってこなかったものの動きはまちまちでした。これは、わざわざ捕獲地点まで戻らなくても、住み慣れた捕獲地点と同じような湖底の地形や餌の豊富さなどを持つ良い環境を見つけ、そこで生息することにしたと考えられます。また戻ってきたもののなかでも、南湖の端から端まで10km以上移動した末にようやく捕獲地点にたどり着いたものや、せっかく捕獲地点にたどり着いてもまた別の場所に移動するものもいました。

これらの結果から、オオクチバスはもと居た地点に一定のこだわりを見せる一方で、新しい場所にもすぐに適応しうるため、これ以上の拡散を食い止めるためにはリリース禁止が必須であることが確認されました。

(ご参考:オオクチバスについて)
北米原産の外来魚で、全長40~60cm程に成長します。ブラックバスの一種で、名前のとおり口が大きく、上アゴの後端が目の後縁より後方に位置しています。肉食性で、甲殻類や魚類を捕食します。滋賀県では昭和49年(1974年)に彦根市沿岸で初めて確認され、昭和54年(1979年)には琵琶湖全域に拡大し、昭和58年(1983年)頃に大繁殖しました。

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