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ニュースリリース

医学部附属病院 胃がんに対する先進医療が認定

2014年8月 1日

近畿大学医学部附属病院 (大阪府大阪狭山市)では、外科准教授の今野元博(いまのもとひろ)らによる胃がんに対する切除手術と抗がん剤(名称:パクリタキセル)投与を組み合わせた治療法が、平成26年(2014年)8月1日(金)から厚生労働省より先進医療と認定されます。

【ポイント】

●先進医療と認定され、一定の要件のもとに保険診療との併用が認められたことで経済的負担が軽減、より多くの胃がん患者への適応が期待される
●今回の治療法を適用することで、胃がんが胃の表面から腹膜に転移していても、がんが再発するリスクを低くすることができる

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【本件の概要】

胃がんが進行してがん細胞が胃の表面に露出すると、腹腔と呼ばれる器官にこぼれ落ちて最終的には腹膜に付着し、再発を起こします。がんの腹腔への「こぼれ落ち」は診断が難しく、進行胃がんの手術では、がんが取り切れたと判断されても、腹膜で再発するケースがよくあります。
今野らが実施する先進医療を用いた治療では、胃がんの切除手術に加え、抗がん剤(パクリタキセル)を1,000ccの生理食塩水に溶かし、腹腔内へ投与します。直接パクリタキセルを腹腔へ投与することで、胃からがんが転移してしまっていてもがん細胞の増殖を抑えることができるため、がんが再発する可能性を低くしたり、進行を抑えたりすることが期待できます。

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【今後の展望について】

今月から臨床試験が開始します。今回の認定により先進医療として施術できる症例数は50ですが、本臨床試験で良好な結果が得られれば早急に第Ⅲ相試験(※)を行い、パクリタキセル腹腔内投与が保険診療と認められることを目指します。

(※)臨床試験は第Ⅰ相、第Ⅱ相、第Ⅲ相の3つのステップに分かれます。第Ⅰ相試験は、少数の健常者を対象に、治験薬を投与し、主として副作用などの安全性を調べる試験です。第Ⅱ相試験は、第Ⅰ相試験の結果を受けて行われる試験で、患者さんに対する治験薬の有効性と安全性を調べる試験です。第Ⅲ相試験は、第Ⅱ相試験より多くの患者さんを対象に、治験薬と既に用いられている標準的な「くすり」などを、有効性や安全性の面で比較する試験です。
厚生労働省より、保険収載承認申請時には第Ⅲ相試験の成績を提出することが求められています。

【参考資料】

●今回申請された先進医療について
・先進医療技術名称 :
 「根治切除可能な漿膜(しょうまく)浸潤を伴う胃癌に対する周術期パクリタキセル腹腔内投与併用療法」
・実施医療機関 : 近畿大学医学部附属病院
・実施責任医師 : 外科准教授 今野 元博

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●近畿大学医学部附属病院外科准教授 今野 元博 略歴
昭和63年(1988年)3月 近畿大学医学部卒業
平成 7年(1995年)3月 近畿大学大学院医学研究科外科学系修了
平成 7年(1995年)4月 近畿大学 医学部外科学Ⅱ助手
その後講師を経て平成21年(2009年)4月より近畿大学准教授
※平成20年(2008年)1月より近畿大学医学部附属病院がんセンター兼任

●先進医療とは
本来保険診療との併用が認められていない先進医療技術が、一定の要件の下に保険診療との併用が認められる制度。先進医療を受けた時の費用は、一般の保険診療の場合と比べて「先進医療に係る費用」のみを多く負担することになります。本先進医療においては、保険適用外では180万円であったパクリタキセル腹腔投与の自己負担金が59万円になる予定です。

●抗がん剤「パクリタキセル」について
脂溶性で分子量が大きく他の抗がん剤と比較するとゆっくりと吸収されるため、腹腔内に滞在する時間が長く、今回のような治療に適しています。国内でもパクリタキセルを取り扱う製薬企業は複数ありますが、今野らの先進医療では沢井製薬株式会社および日本化薬株式会社のものを使用する予定です。

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