このページの本文へ移動します。

ニュースリリース

ネイチャーに掲載!理工学部理学科物理学コース教授 堂寺 知成らによる研究成果-結晶でも非晶質でもない第3の状態、「準結晶」ができる仕組みを発見

2014年2月 3日

近畿大学理工学部理学科物理学コース教授の堂寺 知成(どうてら ともなり)らのグループは、結晶でも非晶質(アモルファス)物質でもない第3の状態として知られる、「準結晶」を形成する仕組みを発見しました。準結晶は、平成23年(2011年)にイスラエル工科大学のダニエル・シェヒトマン氏が「準結晶の発見」でノーベル化学賞を受賞したことにより、その存在を広く知られることになりました。今回堂寺らが発見した準結晶形成の原理を用いることで、電子回路に替わる新技術である光回路、または太陽電池などの開発に応用できるものと考えられます。
本研究成果は、平成26年(2014年)2月3日(月)AM3:00(日本時間)付で、世界的に最も有名な学術誌のひとつである英国科学誌ネイチャーに掲載されました。

【研究の概要】

固体の結晶形成については、例えばビリヤード台にぎっしり玉を並べると、玉の中心は正3角形や正6角形に並ぶことが知られています。堂寺らは、ビリヤード玉のような固い玉を芯としてその周りに柔らかいスポンジの皮をつけたような物質を並べるとどのようになるか、数値シミュレーションを用いて調査しました。すると、皮の厚さや玉の密度が一定の条件を満たす時に、正10、12、18、24角形の対称性を持つ準結晶の様相が現れたのです。本結果により、これまでその存在のみが証明されていた準結晶が、どのような条件において形成されるかが世界で初めて明らかになりました。

pic_140203nature.jpg

【今後の展望】

今回のシミュレーション結果によって、粒子の芯(コア)と皮(シェル)の厚さの比率、ならびにコア-シェル型粒子の密度をコントロールすることで、準結晶を自由自在に形成する可能性が示されました。
準結晶構造はフォトニックバンドギャップと呼ばれる、一定の周波数の光が存在できない領域を持ちやすいことが知られています。分子には自己組織化と呼ばれる、自ら秩序を持つ構造をつくる性質がありますが、この性質と組み合わせることによって、将来的には太陽電池や光回路、バイオセンサーなどの開発に利用されることが期待されます。

【原論文情報】

T. Dotera, T. Oshiro, P. Ziherl "Mosaic two-lengthscale quasicrystals" , Nature 2014, doi:10.1038/nature 12938

【発表者】

近畿大学理工学部理学科物理学コース教授 堂寺 知成(どうてら ともなり)
大城 辰也(おおしろ たつや)氏 (平成23年(2011年)近畿大学理工学部理学科物理学コース卒業)
スロベニア・リュブリャナ大学シュテファン研究所 プリモシュ・ジハール博士

<参考資料>

【近畿大学理工学部理学科物理学コース教授 堂寺 知成(どうてら ともなり) プロフィール】
平成元年(1989年)東京大学大学院理学系研究科修了(理学博士)。ペンシルバニア大学で「準結晶」の命名者ポール・スタインハート現プリンストン大学教授と共同研究。放送大学、京都大学を経て平成21年(2009年)より現職。
研究テーマはソフトマター(※)の物理学。とりわけ準結晶について詳しく、平成23年(2011年)ノーベル化学賞発表の際にも名古屋大学大学院・松下裕秀教授との共同研究の成果である高分子準結晶が言及され、ノーベル賞選考委員の書いた詳しい解説に論文が引用されている。また、ノーベル賞を記念して出版されたイスラエル化学誌(Israel Journal of Chemistry)にレビューを執筆している。今回の研究は大城辰也氏(平成23年(2011年)近畿大学理工学部理学科物理学コース卒業)、プリモシュ・ジハール博士(スロベニア・リュブリャナ大学、シュテファン研究所)との共同研究の成果である。
(※)ソフトマター:高分子(プラスティック、ゴム、接着剤)、コロイド(化粧品、インク)、液晶、界面活性剤(石けん)、生体物質(生体膜、DNA)等柔らかい物質群の総称。

【準結晶について】
結晶(原子や分子が同じパターンを繰り返して配列している物質)でも非晶質(アモルファス、ガラス)物質でもない、第3の固体物質ともいわれる状態で、配列に高い秩序性があるが、平行移動しても一致しない性質を有する。昭和57年(1982年)にイスラエルのダニエル・シェヒトマン教授が電子顕微鏡でアルミマンガン合金を観察中に、物質には存在できないと思われていた5回対称の回転対称性を発見したのがきっかけである。一方で、シェヒトマン教授の発見は19世紀末に確立した結晶学の常識を大きく揺るがすものであり、平成23年(2011年)のノーベル化学賞受賞まで多くの年月を費やした。
これまでの研究で、準結晶構造を持つ合金は、金属でも電気が流れにくく熱伝導率が低いことや、硬いといった特徴を有するものもあり、自動車エンジンの断熱材や眼科手術のメス、最近では熱ダイオードが開発されている。今回の堂寺らの研究は、合金とは異なる高分子、コロイド、金属ナノ粒子などの化学系材料、ナノテクノロジーでの応用が考えられ、特に光学方面の研究開発への利用が期待される。

関連リンク
nature.com 

©Kindai University All Rights Reserved.このウェブサイトの内容の無断転載・複製を禁じます。