私たちのグループでは、光と金属錯体分子との相互作用によって生まれる「新機能・新現象」に着目し、独自の視点に基づき光応答性金属錯体を設計・合成しています。これまでに、(1)光と酸素を刺激として、室温で蛍光とリン光発光を可逆にスイッチできるガドリニウム錯体(図1a)[1]、(2)酸素応答性のランタニド錯体の中で、世界最高の発光量子収率(91%)を示すテルビウム錯体(図1b)[2]、(3)光源から遠ざかる方向に屈曲する長さ1 mm以上の棒状結晶を与えるロジウム錯体(図1c)[3]などの開発に成功しています。
これらの光に応答する金属錯体は、いずれも、次世代を担う光機能性材料(光触媒、光電変換/表示/記憶/センサー/アクチュエータ素子等)の開発へと繋がるものです。しかしながら、省エネルギー材料として利用するためには、入力および出力することができる光の波長の制御を含めた「光の利用効率」の向上が必須となります。
本研究では、合目的的な金属・配位子設計を通して「高効率で光を利用することができる光応答性金属錯体」を開発します。さらに、本プロジェクトに参画している研究者と連携して「太陽光を利用した光物質変換材料(テーマ1)や光エネルギー変換材料(テーマ2)」としての応用にも取り組みます。
図1. 光応答性金属錯体