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ホーム > 研究組織 > 高分子物質の高次構造の分光解析 (研究者 : 森澤 勇介)

研究テーマ3高分子物質の高次構造の分光解析

研究者 : 森澤 勇介

所属 : 総合理工学研究科物質系工学専攻
職位 : 講師

 高分子の物性や機能は原子の配列となる一次構造だけで決まるのではなく、水素結合等の分子間相互作用を通した局所的構造である二次構造(αへリックスやβシート等)、さらには二次構造がいかに組み合わさるか、それによって形成されるユニットの構造化といった高次構造(ラメラ構造と球晶、タンパク質の内部ユニットとその多量化)によるところが大きい。つまり、結晶多形をもつ高分子は注目する部分において、どのような結晶となっているかによってまたは、その結晶化度によって大きく性質を変えるのだ。よって本プロジェクトにおいて目指す省エネ材料の開発において、材料が望む機能をもつ結晶がどのようなものかを評価する際、迅速にさらには非破壊的に評価する方法が必要となる。

図1 ポリヒドロキシブタン酸の等温結晶化によるスペクトル変化。これらのスペクトルを解析することにより、結晶化形成に先立って水素結合による弱いユニット化の観測に成功した。[2]

 本研究テーマにおいて、私は幅広い分光分析法を用いた非破壊分析による、様々なサンプル形態に適応した高分子物質の高次構造解析の開発に取り組む。分光分析法は試料に対して様々な領域の光を入射し、その吸収・反射・散乱光を検出することにより、試料の性質を分析する方法である。適用する光のエネルギーによって、得られる情報が異なる。赤外分光およびラマン散乱分光を代表とする振動分光は分子の中の結合において、原子同士がどのような結合を作っているか、またそれが周囲から水素結合などの影響を受けているかどうか、従って、一次構造~二次構造を知る手段となる。一方、近年分析機器の発展が著しいテラヘルツ領域の分光分析は、(中)赤外分光法で取り扱うよりも低いエネルギーの振動を取り扱うため、より重いユニットが化学結合よりも弱い力で結ばれている系に関する情報を示す。これは、まさに二次構造以上のユニットが水素結合などの弱い相互作用を使って高次構造を形成する時の振動系と一致する。このため、テラヘルツ領域の振動は異なる結晶系において異なる吸収エネルギー、吸収強度を示すために結晶多形の分析法として期待されている。[1]私はこれまでに、テラヘルツ分光法を用いて、生分解性ポリマーのラメラ構造形成過程の解析[2]やナイロンのブリル転移[3]など、ポリマーの結晶化または相転移に関する研究を行ってきた。一方、このような超分子構造結晶過程は分子錯体など本プロジェクトで扱う分子に対しても有効に働くと考えられる。X線結晶化解析では実現しえない、デバイス上での構造やその場の結晶性などを測定し得る分光分析法へと発展できると期待される。

【参考論文】
[1] 森澤勇介, 尾崎幸洋, 保科宏道, 光学2011, 40, 388-401
[2] Hoshina, H.; Ishii, S.; Morisawa, Y.; Sato, H.; Noda, I.; Ozaki, Y.; Otani, C., Appl. Phys. Lett. 2012, 100, 011907
[3] Suzuki, H.; Ishii, S.; Sato, H.; Yamamoto, S.; Morisawa, Y.; Ozaki, Y.; Uchiyama, T.; Otani, C.; Hoshina, H., Chem. Phys. Lett. 2013, 575, 36-39
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