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ホーム > 研究組織 > メタノール光合成システムの構築 (研究者 : 松尾 司)

研究テーマ1メタノール光合成システムの構築

研究者 : 松尾 司

所属 : 総合理工学研究科物質系工学専攻
職位 : 准教授

背景と実績

 二酸化炭素の回収と有効利用が活発に研究されている。CO2の化学的利用は、化学工業における合成ガス製造のC1化学として重要である。均一系反応としては、Ru触媒を用いた超臨界二酸化炭素の水素化によるギ酸の合成が有名である(Nature 1994)。また、種々の遷移金属錯体を用いたCO2の電気化学的・光化学的還元反応が研究されてきた。主生成物はギ酸や一酸化炭素であり、さらに還元された化学種にはほとんど変換されないのが現状である。
 研究者は、遷移金属錯体を用いた小分子の活性化に関する研究を展開し、(1)ニオブ錯体を用いた窒素分子の三重結合切断反応[1]、(2)タンタル錯体による一酸化炭素の六量化反応[2]、(3)ジルコニウム・ボラン触媒による二酸化炭素とヒドロシランからメタンとシロキサンに変換する均一系触媒反応[3]、などを開発した。常温・常圧の穏和な反応条件で進行する。無機小分子の活性化による有用物質への変換は、有機化学と無機化学の垣根を超えた共通の基礎研究として極めて重要である。最近、典型元素を用いた小分子の活性化に取り組んでいる。

プロジェクトで推進する研究・共同研究

 本研究では、遷移金属ボトムアップ技術を駆使して、主に2つの研究テーマを推進する:(1)二酸化炭素の化学的還元によるメタノール合成、(2)メタンの部分酸化によるメタノール合成。精密な配位子設計に基づき、配位不飽和で高活性な金属反応場を構築し、斬新な分子変換反応の開発にチャレンジする。特に、遷移金属カチオン種を用いた二酸化炭素の水素還元、メタンモノオキシゲナーゼをモデルにした鉄カルボキシラート錯体に着目し、従来では困難であった小分子の活性化法を開拓する。
 色素、発光材料、有機電子デバイス、単分子磁石など、多方面との共同研究・連携が可能な状況である。高分子や集積体の開発にも積極的に協力する。

将来構想

 「ソーラー触媒」の開発に向けて、不均一系光触媒と金属錯体分子を如何に組み合わせるか、ブレークダウン技術とボトムアップ技術の融合が重要である。例えば、光触媒で水から発生した水素分子をすみやかに二酸化炭素と反応させる技術、感光性材料空間に閉じ込められたメタンをすみやかに光酸化する技術、これらの技術が達成できれば、当該分野への学術的貢献が大きいことはもちろん、今後の社会経済の活性化に貢献する大変重要な科学技術につながる可能性が期待出来る。将来の「メタノールエコノミー」[4]に貢献していきたい。

【参考論文】
[1] F. Akagi, T. Matsuo, H. Kawaguchi, Angew. Chem. Int. Ed. 46, 8778–8781 (2007).
[2] T. Watanabe, Y. Ishida, T. Matsuo, H. Kawaguchi, J. Am. Chem. Soc. 131, 3474–3475 (2009).
[3] T. Matsuo, H. Kawaguchi, J. Am. Chem. Soc. 128, 12362–12363 (2006).
[4] G. A. Olah, Angew. Chem. Int. Ed. 44, 2636–2639 (2005).
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