田畑一雄大阪労働局長による講演「働き方改革と労働法」がなされました。

2018.06.19

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2018年6月19日、田畑一雄大阪労働局長より、「働き方改革と労働法」と題して、会場を埋め尽くす400名を超える学生に対して、90分にわたる講演が行われました。

講演の前半では、大阪労働局と同局が進める大阪の働き方改革に関する解説、後半では、学生の就業に役立つ労働法の基礎知識に関する解説が行われました。

前半の要点は以下の通りです。

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・リーマンショックの際に全国・大阪共に0.4程度に落ち込んでいた有効求人倍率は、現在、上昇傾向にあり、特に大阪では1.73と40年ぶりの高水準にある。

もっとも、大阪での正社員の有効求人倍率は1.1程度にとどまっているほか、警備・保安業では7.56である一方、事務系では0.53であるなど、業種・職種ごとのバラツキが大きいため、ハローワークでは、人材不足分野へのマッチング支援を強化し、人材不足解消に向けて取り組んでいる。

・働き方改革にとって最も重要な背景要因は、少子高齢化である。特に、生産年齢人口の絶対数と割合の減少が深刻な状況にある。

安倍総理が、安倍内閣の1丁目1番地と位置づけ、2年ほど前に検討会議を設立し、自ら参加して計画づくりに携わって来た経緯がある。

具体的には、女性と高齢者の活用が喫緊の課題であり、特にまだ十分に達成されていない女性労働力の活用の促進策を図る必要性を認識している。

非正規労働問題の解消も重要な課題である。正規労働者数が横ばいなのに、非正規労働者数が増加していること、両者間の賃金水準格差が(国際比較的に)依然として大きく、各種手当の格差も大きい等の実態を踏まえ、同一労働同一賃金原則の普及ないし不合理な格差の是正を図りつつ正規労働者を増やし、ひいては「非正規」という言葉自体を発展的に解消させるよう努める所存である。

また、日本では、統計上、労働生産性の低い長時間労働が行われる傾向がうかがわれるので、長時間労働に絶対的な上限を設けて罰則付きで規制しつつ、単位時間あたりの労働生産性向上策を図る所存である。

・大阪の働き方改革は、中小企業割合が多いこと等の地域的特徴、全国的な比較で女性の就業率が低いこと、20歳台30歳台の若者が東京圏に流出していること等の地域的課題と共に、非正規雇用、長時間労働等の全国共通課題を踏まえて実施している。

特徴的取り組みとして、地域の産業に関する知識とネットワークを持つ金融機関との連携した施策の展開、自治体、他の国の機関、労使団体、金融機関等のステークホルダーの参加する会議(「大阪働き方改革推進会議」)の主催が挙げられる。

また、今年3月には、大阪経済を活性化させるという共通目的のもと、大阪府と連携し、「いわゆるブラック企業の撲滅に向けた共同宣言」を行い、労基法等の周知啓発、経済団体等への働きかけ、働きやすい職場づくりに積極的に取り組む企業の応援等の施策を協働して推進している。

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後半では、「まんが 知って役立つ労働法」を紹介しつつ、労働基準関係法令等の労働法制に関する基本的な知識について、分かり易い解説が行われました。

また、労働問題で悩んだ場合の相談・申告先の紹介、就職先としての労働行政職に関する紹介も行われました。

参加した学生からは、将来に役立つ有益な知識と刺激を得られたとの声が多く寄せられました。