大阪労働局苧谷秀信局長による講演会「トップが語る大阪の『働き方改革』〜大阪は再びよみがえる〜」が開催されました。

2016.12.13

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2016年12月6日、大阪労働局の苧谷秀信局長をお招きして、「トップが語る大阪の『働き方改革』~大阪は再びよみがえる~」というテーマでご講演をしていただきました。

この講演では、苧谷局長が、率先して推進している大阪の働き方改革について語られました。

概要は、以下の通りです。

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大阪の働き方改革の推進には、地方自治体、地方の労使などの関係者との連携が不可欠なため、推進会議を設立し、そこで得られた合意を、ロードマップを含めた基本方針にまとめた。

この会議の特徴的な点の1つに、金融機関の参画がある。

中小零細企業での雇用・労働政策の実施は、重要ながら困難な課題の1つだが、こうした企業も、金融機関との融資等を通じた関わりは持つことが多い。

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そこで、大阪信用金庫をはじめとする4行と包括的な連携協定をむすび、推進会議にも参画して頂いた。

協定に基づく具体的な取り組みには、金融機関の広告媒体を通じた労働施策の周知、金融機関のスタッフによる助成金制度の案内などがあり、最近では、ストレスチェック制度に関する相談も寄せられるようになっている。

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また、他の企業への影響力が大きいリーディングカンパニーへの幹部による直接要請、学生向けの労働法制セミナー(これには、学生自身の身を守らせる目的と、彼・彼女らが将来、管理職や人事総務職に就いた際に法令順守を果たさせる目的がある)、過重労働の解消に向けた出席者による参加型・問題解決型のワークショップ、無期転換ルール制度の周知、改正育児・介護休業法等に関する説明会などにも力を入れている。

過労死等防止対策には特に力を入れており、過重労働撲滅特別対策班(いわゆる「かとく」)等の監督取締りにより、平成28年は2件送致した。

また、ベスト・プラクティス企業を労働局長が訪問する等の取り組みも進めている。安全衛生分野の施策として、ストレスチェック制度の普及にも尽力している。

雇用・失業率対策も、古くて新しい重要課題だが、大阪の直近の有効求人倍率は、1.4倍と昭和49年9月以来の高水準を記録した。

他方、大阪の完全失業率は、全国と同様に緩やかな低下傾向にあるが、他地域より若干高い。ただし、企業本社の東京への移動に伴う労働人口の移動なども影響するので、数値を単純に受け止めることはできない。

非正規労働対策では、temp to perm(非正規雇用から正規雇用へ)を重視し、人材不足分野への就労促進など諸施策を講じている。

地方自治体との連携による一体的な就職支援も進めており、特に、若年者、女性、障害者、高齢者の就職促進に注力している。

東大阪市及び東大阪商工会議所とも「モノづくりのまち東大阪雇用対策協定」を締結した。中小零細企業で正社員として様々な業務を経験した労働者は、転職する際にも高い価値を認められることが多い。よって、企業規模を問わず、正規雇用を目指す方が良い。

若年者や女性の就職支援については、大阪労働局独自に、わかものハローワークやマザーズハローワークに職業訓練相談窓口を設ける等の対策も講じている。

また、近年は、外国人留学生への企業の雇用ニーズが高まっているため、専用の就職面接会を開催するなどしている。

このように、施策を立案し、展開していく際には、法律知識のみならず、統計、経済、心理など、様々な関連分野の知識が必要になるので、特に公勤務を目指す学生は、貪欲に学んでいってほしい。

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その他にも、働き方改革による労働生産性の向上は、消費の向上にもつながること、その意味でも、中小零細企業にも行き渡る施策を展開する方針であること、介護労働者の低賃金問題は主に昇給率の低さに起因するので、それに応じた対策が必要なこと、有期契約の無期転換ルールの回避の動きを抑制するための指導に努める方針であること、特に長時間労働が生じがちなトラック運送業では、荷主によるイレギュラーな依頼が背景にあることも多いため、公正取引委員会等とも連携して対策に当たる方針であること等、幅広い分野にわたるさまざまな取り組みについて語られました。

会場を埋め尽くした約300名にのぼる学生たちは、開発的な行政を積極的に進めるリーダーの声を間近で聴くことで、今後につながる大きな刺激を受けたと思われます。