日本政府推進の国際交流事業でタイ王国に派遣されていた近畿大学法学部チームの帰国報告会が開催されました。

2015.12.02

2015年11月25日、森山ゼミの国際活動推進研究会に所属する比江島重友さん、田仲曜さん、和田圭志郎さん、勘藤優衣さん、寒川敬介さん(いずれも法学部3年生)をメンバーとする法学部チームのタイ王国における国際活動の報告会が開催されました。

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タイ王国への派遣は、同チームの企画案が日本政府の推進する国際交流事業「対日理解促進交流プログラム『JENESYS2015』」に採択されたことによるものです。 現地での主な活動のスケジュールは以下のとおりです。 <活動内容> 11月11日 ・Department of Children and Youth表敬訪問 ・日本国大使館表敬訪問

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・JICAタイ事務所訪問

11月12日 ・Thammasat Universityとの交流

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11月13日 ・University of the Thai Chamber of Commerceとの交流

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11月14日
・ホストファミリーとの交流

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11月15日
・アユタヤ視察
11月16日
・アジア太平洋障害者センター(APCD)訪問

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・報告会準備

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11月17日
・報告会

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・テロ爆発現場視察

今回の帰国報告会において各メンバーは以下の主旨を述べ、大きな成果が得られることとなりました。

【比江島重友さん】
タイでの「気づき」は多く、大変実りあるプログラムとなりました。日本とタイの関係は良好で、日系企業の予想以上の進出状況だけではなく、現地の方々の親日派の多さや日本文化の浸透の程度に驚きを覚えました。

現在タイに進出している日系企業は4500社を超えており、タイの自動車にいたっては9割以上が日本車であり、日本にとっても重要な貿易国であることを改めて認識しました。

また、タイは経済成長を続けており、バンコクなどは事前に書物で調査を進めた知識の枠組みを超えて発展していることが実感できました。

その一方、地方との格差や貧富の格差が顕著に存在し、人身売買や児童労働といった問題も解決すべきテーマでした。義務教育の整備やコミュニケーション手段の発達によりその数は減ってきているものの、友好国タイに対して日本ができることを具体的に模索・提案することに腐心しました。

今回のプログラムでは、諸大学の派遣団のリーダーを務めました。全国から集まった精鋭たちに揉まれて私自身成長することができたと感じています。

今回の経験を自分だけのものにするのではなく、多くの方々に伝えていく使命を果たしていきたいと思います。

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【田仲曜さん】
当初アジア圏ではまだまだ発展しきれておらず、これからだというイメージを持っていました。

しかし、車線が多くあるにも拘らず、ラッシュアワー時の車両の質や多さにその豊かさを感じたり、周囲の近代的な建物からその技術の高さを目の当たりにしたりするなど、渡航前の事前研究とのギャップを現地で修正できました。

タイの日本大使館では、タイの人々は親日派が歴史的に多く、さらに日系企業のタイ進出に伴い日本語を学ぶ学生がとても多いことを実感できました。

学生の中には、高校生のときから日本語の授業を履修する学生も少なくなく、ホームステイ先の学生も日本語を勉強するための参考書を教科書とは別に買っており、日本語学習が浸透している点にも両国の新たな関係を築いていくヒントが隠されているように思えました。

しかし、教育の質は都心と市街地で統一されていないことが課題であり、日本語を学んで日本に留学生として学びに来る学生が技術者中心でなく、政策や社会保障分野でも積極的に学びに来てもらうことなどを展開することが、両国間のさらなる国際関係協力につながると確信しました。

タイは日本より人口密度が低く、今から教育の質のベースアップを図ることができれば人口が増えたとしても対応がしやすいことが挙げられます。

タイのことを知るだけでなく一緒に行った仲間とも刺激しあえる環境で、今回得られた経験・知識を将来の両国のさらなる発展に還元していきます。

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【和田圭志郎さん】
タイに行くまでは、発展途上国の1つとしか捉えることができていなかったことに自省しています。

実際に現地での国際活動を展開することで、東南アジアの大きな市場の可能性を改めて体感でき、日本とのさらなる連携・協力体制を模索する日々でした。

また、王国としての国家の在り方も多文化共生の実現に向けて学ぶべきことが多々ありました。

あいさつの仕方ひとつをとっても王室への敬意が感じられ、町をあげて王妃の誕生日を祝う準備を進めている人々の姿には、日本でタイ文化に対する理解を進める大きな指針を与えてもらった一方、現地の方々の趣向に沿った対日理解を促進する重要性ならびにその具現化方法を考える大きな機会となりました。

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【勘藤優衣さん】
本プログラムを通じて、普段日本では気づかない、日系企業の進出や、日本による技術協力など、日本の魅力を自分の目で確認し、実感することができました。また、生活レベルでのタイと日本の繋がりをより感じることができました。

私自身、タイと日本が歴史的にもこれほど密接な繋がりがあり、現在においても経済面を含め、互いに欠かせない存在であることは予想以上のものでした。

現地では同世代の学生と接する機会が多く、交流を深めることで将来の両国の関係の可能性を徹底的に話し合うことができたのが一番の収穫です。

タイの学生たちは日本の学生と趣味なども似ていて、日本のキャラクターや遊びにすごく興味を持っていたので、タイのより多くの若い方々にさらに日本の魅力を知ってもらうため、SNSで発信していくプロジェクトを計画中です。

また、このプログラムは学生主体で活動させていただけたので、これから自分たちが築く新しい両国の関係、種々の問題を考えながら行動することもできました。

日本全国の様々な大学から派遣されているので、多様な価値観や意見のなかで考えることは大きな刺激になりました。

タイの方々はとても温厚かつ親切で、同国の経済は日本と提携することでさらなる大きな可能性を秘めています。

その中でも、水に関連するインフラの整備はまだまだ多くの問題を残しているように感じられたので、技術提携・提供も視野に入れながら、日本とタイがさらなるビジネスの発展につなげることができるのではないかと考えています。

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【寒川敬介さん】
「今後も日本の生命線として重要となる国を肌感覚で感じてみたい」、この思いから、対日理解促進交流プログラムを志望しました。

私がこの派遣を通じて強く感じたこと、それは日系企業の進出でした。実際にその土地に足を踏み入れる事で、走行している日本製自動車の数、コンビニエンスストアやスーパーなどにある日本製品の品数の多さに驚きました。

また、渡航前に想像していたタイの国民性と、現地で交流したタイの国民性とのギャップがあり、彼らの温かい待遇にも感謝の念を抱くと共に、「学生の学習意欲の高さ」をまざまざと実感しました。

全日程、時間単位でスケジュールが組まれており、ホームステイでの草の根の交流など、非常に充実した活動をしてきました。

自身の志望理由を十二分に満たしてくれる代え難い経験を積ませてもらえただけではなく、今後もタイに如何に日本の魅力を浸透させられるか、さらには国益への還元も視野に入れながら、如何に両国のビジネスを展開していけるかについての具体的テーマも追求することができ、「自分がその将来を築く人材の一人となるのだ」という強い意志を改めて持つに至りました。

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今後も、森山ゼミ「国際活動推進研究会」は、ゼミ生自らの主体性のもと、日本と海外との橋渡しになる国際的役割を担う人材育成を進めていきます。