言語学から対話AIへ
2026.09.11
近畿大学短期大学部の武知薫子(准教授)は、社会言語学・認知言語学を出発点に、現在は人とAIとの相互作用を扱うヒューマン・エージェント・インタラクション(HAI)を主な研究領域としています。対話AIの設計を軸に、コミュニケーション型ロボットへの実装も行っています。
現在の中心テーマは、AIにどこまで判断を委ね、人が自ら考えて決める余地をどう残すか。ことばによるやり取りを研究してきた知見を生かし、人の学習・認知・判断を支える対話のあり方を検討しています。
2025年1月の第7回対話システムライブコンペティションでは、武知准教授は参加名「KEICHANZ」で個人参加し、「共感→リフレクション→状況整理→提案→肯定的方向づけ」という5段階の対話を設計しました。本選出場3チームの枠には届きませんでしたが、同年8月に発表された運営研究者らの後続論文では、対話の流れに関する肯定的コメント率が40.0%で評価対象15システム中2番目に高く、5段階の対話構造も、対話の流れが高く評価された3システムの一つとして紹介されました。
2026年2月には、「HAIシンポジウム2026」で対話AIを用いた議論支援に関するポスター発表を行いました。さらに、同年11月開催の国際会議「HAI 2026」では、対話AIにどこまで判断を委ねるかを扱った研究がPoster Papersに採択され、ACMの国際会議論文集への収録が決まっています。
2026年夏には、ヒューマノイドロボット「Unitree G1」のシミュレーターを用い、音声対話と指差し・案内などの身体動作を組み合わせたマルチモーダルなインタラクションの研究を実施しました。
これらの研究で得た知見は、ゼミや授業にも還元しています。生成AIを活用した学習用Webプロダクトを開発し、学生の練習教材として試用するなど、研究と教育を往復する取り組みを続けています。