学習・教育目標

機械工学科の学習・教育目標は以下のとおりです。4年間を通じて、「人に愛され、信頼され、尊敬される」技術者に成長するため、どのような内容の科目を何のために学ぶかをまとめたものです。

(A) 対社会的責任の自覚能力の養成

人類の幸福・福祉などの概念を理解し、技術者としてのあるべき姿や他人、他国の立場を尊重する思考の重要性を認識する。また、技術が社会や自然に及ぼす影響・効果に関する理解を深め、社会に対する責任感を養成する。

(A-1)社会の歴史・構造・仕組み、人間の社会観念の認識:総合科目の人間性・社会性、地域性・国際性、課題設定・問題解決、表現・スポーツ・健康活動の科目群の科目を修得することにより、個人・社会・国際的倫理観を養成する。また、社会の歴史的変遷や社会的要求の変化を学び、将来に向けた社会的要求や必要性の方向予測能力を養う。

(A-2)自然の中における人間の役割と技術開発のあるべき姿の認識:総合科目の専門基礎・自然科学の科目群の科目を修得することにより、科学の進歩が自然や環境にどのように影響を及ぼし、科学技術の発展が持つ光と影の両者を見つめる素養を身につける。

(A-3)技術者倫理:「工学倫理」を履修し、(A-1)、(A-2)で得た知識と現実の工業技術の発展に伴う種々の問題の実例を照らし合わせることで実践的倫理観を修得する。

(B) 工学の基礎知識の修得

機械工学を学ぶ上で基本となる数学、自然科学の基礎知識を修得し、これらを工学に応用できる能力を養成する。

(B-1)数学的基礎知識:工学基礎・数学区分の科目を学修することにより、微分積分学、線形代数学、確率統計学といった機械工学の学習に要する数学的素養を身につける。

(B-2)物理学的基礎知識:工学基礎・物理区分の科目を学修することにより、力学を中心として電磁気学にいたるまでの物理学の基礎を学び、機械工学で学ぶ各力学の基礎知識を修得する。

(C) 機械工学の専門知識の修得

ものづくりの原点である機械工学の基礎知識として重要な材料力学・熱力学・流体力学・機械力学を学ぶ。これらの基礎知識をもとに、機械工学の応用分野における幅広い専門知識を修得する。

(D) デザイン能力の養成

目的課題を遂行する方法をデザインする能力と、ものをつくるための機械設計能力および協働して事業を進めるチームワーク力を養成する。

(D-1)課題遂行手順のデザイン能力:ものづくりの導入教育を目的とした創成型課題により、問題解決の一連の手順を学習体験する。例えば、実験科目では、解がひとつでない課題に対して、チームで協調し、測定原理・測定法を調査・考案した後、実験に必要な器具を揃えて実験し、得られた結果が正しいかどうかの検証までを行うことにより実験のデザイン能力を養っている。さらに、「卒業研究」では、実践的な研究課題に対して実験の計画・実行・評価の一連のプロセスを得る事により、目的課題を遂行する方法をデザインする能力およびチームで協働できるチームワーク力を修得する。

(D-2)機械の設計能力:材料力学、材料工学、生産工学の区分の科目を履修することにより、社会で活躍可能な機械技術者となるための機械設計能力を修得する。くわえて、ものづくりの基本となる図面作成能力を、設計・製図の区分の科目を通して、図面作成、設計の能力を身につける。

(E) 課題発見・解決能力の養成

創成型科目で課題理解力やその解決能力を養うほか、「卒業研究ゼミナール」および「卒業研究」の中で専門的能力を展開し、製造・開発・研究における問題設定能力とその解決能力、また、自らの創意工夫により課題や問題に対して創造的発想で対処できる能力および協働して事業を進めるチームワーク力を養成する。

(E-1)課題や問題点の分析能力:創成型科目や設計・製図科目を通して、与えられた課題の意味を分析し、何を求められ、何をすべきかを考察する能力を養う。

(E-2)課題や問題点に対する解決手法の探索能力:創成型科目や設計・製図科目を通して、自分が設計したもの、試作したもののどこに問題点があり、どのようにすると改善・解決できるかを考察し、解決の糸口を見出す能力を養成する。

(E-3)問題点の解決能力:創成型科目や設計・製図科目を通して、作成物の機構や自ら見出した測定装置の測定原理・測定法を改善し、問題を解決し、得られた成果や結果が正しいかどうかの検証までを行い、課題理解・解決・評価能力を修得する。

(E-4)作図・表現能力:与えられた課題に対し、設計の手順を分析し、機械工学の知識をどのように駆使して設計するかを考察する能力を養う。実験・実習科目や設計・製図科目において考案物の具体的な図表現能力を養う。

(F) 情報収集力・データ分析能力の養成

情報を広く集め、取捨選択する能力を養うとともに、情報機器、インターネットなど新しいメディアを使いこなす能力を身につける。また、実験科目、「卒業研究」などを通して、変化、進歩の著しい各種機器の利用に慣れ親しむとともに、その測定の原理やデータ処理・分析能力を養成する。

(F-1)情報収集能力:「電算機基礎演習」において、情報倫理教育を受講した後、学内ネットワークの利用方法、インターネットによる情報検索、メールの送受信などについて学ぶ。また、「フレッシュマンゼミナール」において、図書館および図書・文献検索データベースの利用方法を学んだ後、「卒業研究ゼミナール」、「卒業研究」において、それらのメディアを積極的に利用し、情報収集能力を養成する。

(F-2)実験機器の適切な選択と使用能力:実験・実習区分、計測制御工学区分の科目や「卒業研究」において、与えられた実験課題に対し、何をどのように測定すべきかを考えた後、適切な計測器を選択して使用する能力を養成し、各種計測理論ならびに計測手法を修得するとともに、計測器の利用方法を習得する。

(F-3)データ分析・処理能力:「電算機基礎演習」にて、表計算ソフトウェアの操作スキルを身につけ、各実験科目におけるレポート作成や「卒業研究」における論文作成の中で、実践的なデータの集計・統計計算・グラフ作成などの能力を身につける。くわえて、計測制御工学区分の科目において、品質・生産管理のためのデータ処理・分析方法について学ぶ。

(G) 表現力と国際性の養成

自立して学習・研究活動できる自己啓発・自己管理能力および自らが理解したことを確実に伝達できる表現力を養う。また、身近な環境から地球環境まで常に関心を払い、国内外で幅広くコミュニケーションが行える能力を身につける。さらに、技術者として求められる人格形成を重視し、人々に信頼され、協働して事業を進めるチームワーク力を養成する。

(G-1) 国際コミュニケーション能力:外国語科目および国際経営特修プログラムのコース共通及び英語コースの科目を履修することにより、英語による文献の読解能力、会話能力を向上させ、英語理解力を深め、国際的視点を養成する。

(G-2) 自己表現能力:創成型科目、各実験科目、「卒業研究ゼミナール」、「卒業研究」の中で、自分の考え方をまとめて、分かりやすく発表する能力を養う。創成型課題や卒業研究を通して、自ら考案した測定方法などをまとめ報告書を作成し、口頭説明により表現する能力を身につける。
くわえて、チームで目標を達成させる課題が与えられる科目では、そのプロセスで論理的な議論が行える論理的表現力を育む。

(G-3) 自己学習能力:各実験科目、「卒業研究」の中で実験方法を自ら考案し、得られた測定結果をまとめ報告書を作成するなど、自ら問題解決、結果の収集、発表準備を計画的に行う能力を身につける。