山田 克宣教授が『医学のあゆみ289巻2号』(出版社 医歯薬出版株式会社)に寄稿しました。

2024.05.16

山田 克宣教授が『医学のあゆみ289巻2号』(出版社 医歯薬出版株式会社)に寄稿(単著)しました。

タイトル: 神経科学的手法を用いた幸福度測定への批判的検討
雑誌名: 医学のあゆみ 289巻2号
出版社: 医歯薬出版株式会社
発行年月: 2024年4月
内容の紹介: マクロ経済学でノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ教授は、"主観的幸福度"の動きに注目しながら経済政策を行うように提言しました。しかし、幸福度を経済政策の評価に使ってよいかどうかは、人間が幸せであると感じる感情の強さを正しく測定できるかどうかにかかっています。ここで問題となるのは、感情の表現の仕方は決して 1~10 といった、閉じられた尺度だけで行われるものではないということです。金銭報酬を得た時の嬉しさの度合いを報告する際の脳活動を記録する fMRI(functional MRI)実験を行い、嬉しさの報告に心理学的な幸福度を用いる時と、経済学的な上限のない自由な方法で報告を行う時の脳活動の差を分析しました。その結果、閉じられた尺度(幸福度)を用いた時には喜びが過剰報告されることが明らかになり、さらに、脳活動データから頭頂皮質や線条体の活動負荷が上昇していることがわかりました。これは報酬系のネットワークで相互フィードバックが起きていることを示唆していて、幸福度の測定にひそむ測定誤差(本来の喜びに対して過剰な測定)の可能性を指摘しました。

出版社ウェブサイト
https://www.ishiyaku.co.jp/search/details.aspx?bookcode=928902