2025年度 第6回定例講演会
2025.10.30
- 定例講演会
【講演テーマ】
「日本銀行の業務と政策 」
【講師】
日本銀行 大阪支店 副支店長
大塚 竜 氏
【会場】Zoomでのオンライン講義
10月29日(水)に、第6回定例講演会が開催されました。講師に、 日本銀行大阪支店副支店長の大塚竜様をお迎えし、日本銀行の業務と政策についてご講演いただきました。
日本銀行の業務について、金利に関する点や最近の物価上昇や賃金のあり方といった、私たちに関わりのある現在の日本経済の直面している状況と日本銀行の関係についても詳しく解説をしていただきました。また、金融システムの安定に対する日本銀行の行動に関する解説や中央銀行デジタル通貨に対する取り組みに関して紹介していただきました。
講演終了後には多数の質問が寄せられ、質問についても詳細丁寧にご回答をいただきました。日頃の講義との関連も深く、経済学部で学んだ内容が実際に生かされていることも感じられたことと思います。この講演を基に、さらに日本経済や金融に関する知識を深めていただけたらと思っています。
大塚様、素晴らしい講演をありがとうございました。
学生からの感想の一部をご紹介します。
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今回の講義で、日本銀行の金利の仕組みや物価上昇の目標について初めてしっかり理解できました。長い間ゼロ金利が続いていた理由や、2%の物価上昇が大切な意味を持つことが印象に残りました。最近の金利の見直しは、日本の経済が少しずつ動き出しているように感じました。(1年生)
日本が現金をたくさん保っているという話をよく耳にしていたが本当に現金で保有しているということが分かった。日本はキャッシュレスが地道に定着しつつあるが、まだまだなのだと実感した。実際に私がこの夏アメリカへ行った際、アメリカではクレジットカードを使っている人だらけで本当にびっくりしたので身をもって体感したことでもある。 そんな中でも偽造札の数が世界中を見てもかなり低い水準であるということは誇れる日本の特色の一つだと思った。 お札のデザインが変わるのは20年に一回で、偽造を防ぐためにするというのは初めて知った。(2年生)
今回の講義で、金融危機への備えとして預金保険機構の役割が強化されてきたことを知り、金融システムの安定を支える仕組みの大切さを実感しました。図で流れが分かりやすく、とても理解しやすかったです。(3年生)
今回の講演では、日本銀行の「非伝統的な金融政策」への取り組みが、金利の期間構造に対する影響、すなわち「量的な緩和政策(大規模な国債購入)」によってイールドカーブ全体を押し下げるという考え方とともに、具体的な手法を通して詳しく理解することができた。 特に、「イールドカーブ・コントロール(YCC)」の枠組みにおける短期政策金利のマイナス金利と長期金利操作目標「ゼロ%程度」が、日本特有の状況下での大胆な緩和策であったことが改めて確認できた。また、主要国の政策金利の推移を見ると、日本が長期にわたりゼロ金利制約の下にあったことが明確にわかり、それが「金融政策の『対応余地』の確保」のために「2%の物価上昇が望ましいか?」という問いにつながる必然性も理解できた。 さらに、2024年3月の金融政策の枠組みの見直しでは、マイナス金利政策とYCCの終了が図られつつも、緩和的な金融環境の継続が示された点も重要であると感じた。一連の政策は、日本の「潜在成長率」の低下という構造的な問題と関連しながら物価安定目標の達成に向けた日本銀行の粘り強い姿勢を示すものであり、非常に参考になった。(4年生)