2005(平成17)年度 海外留学帰国報告書

カルガリー大学(カナダ) 理工学部 生命科学科 帰国報告書

学習面について

Biology305の特徴

ホームページにのってあるテキストを各授業ごとに印刷してきて、そのテキストどおりに授業が進む。教授(教員)の講義を聴くのがメイン。PowerPointを使うところは、近畿大学での授業とほぼ類似。生徒が意見をするのによく手を上げるところは対照的。

Biology305に参加していた生徒

ほぼ在学生にて構成。留学生は(自分を含めて)一人のみであった。

Biology305のテスト

授業3回につき1回小テスト
導入ということで、選択式問題。

Biology331の特徴

ホームページにのってあるテキストを各授業ごとに印刷してきて、そのテキストどおりに授業が進む。先生が独自にホームページを持っており、授業の手助けとなる資料へのリンクや、他大学で教えている内容を載せたりなど、生徒側に非常に気を使っていることがわかる。テキストは穴埋め式になっており、講義を聴きながら穴を埋めていく。講師からの質問は一授業につき6回ほど。生徒からの自発的質問がものすごく多く、そのため授業がなかなか進まないときもあった。

Biology331に参加していた生徒

留学生が5分の1ほど。在学生も、多国籍の父母を持つ生徒が多い。

Biology331のテスト

4回に一回小テスト
単語説明、短い設問、長い設問、選択式問題により構成。主に記述。

感じたこと

授業の聞き取りは意外と簡単だった。が、知らない単語が多い文を話されると、集中力が途切れるので、前もって授業前に教科書を読み、知らない単語を覚えることが日課となった。
記述は単語を完全に理解していないと何もできない。中間テストではテスト形式が変わったこともあり、失敗におわった。

Biology331が本来履修したい科目ではなかったのが残念である。

カナダに行って感じたこと

カナダにまず行って驚いたことは、まったく違和感がなかったということです。日本にいるときよりも、なぜか故郷にいるような気がしました。広大な自然にかこまれて、「本来の自分はこういう景色が好きなんだ」と、空港を出た時の気持ちは今でも同じだと思います。まず、空港を出てからも普通に英語でしゃべれるのは非常に気が楽です。日本にいるときは、日本人の自分が英語をしゃべっているということに関して違和感を感じていました。カナダでは日本語をしゃべること自身が変わっているとみなされるので、今まで英語でしゃべりたいという自分の願いを存分にかなえられた留学でした。

留学の成果

行動力の向上

日本にいるときよりも格段と行動力が増したことを実感しました。何せわからないことだらけなのですから、人に聞かないと物事が始まらないのです。「本を読めばいいじゃないか」と思う人にはたくさん出会いました。ガイドブックにはどこに何があるかがきちんと書いてあるわけですから。しかしそれでは留学してまでカナダに行っている意味が薄れてしまいます。留学はサバイバル、生き残る能力を磨くことが私にとっては大事なのです。
自転車による行動は非常に役に立ちました。見知らぬ土地では日本ですらたまに大きなトラブルに見舞われてしまいます。ですが、自転車の場合、体力と覚悟、努力する心さえあればどこにでも行けます。どこどこに行きたいんだけれども連れて行って、と言っていてもホームステイの家族は忙しいのです。そんな時、何で連れて行ってくれないんだ!と思うよりも、自分の力でいろいろなところに出向いて行くのはこの上なく自分を成長させました。

視野の向上

カナダにはいろいろな人種の人が住んでいます。また、ホームステイエージェントの周りにはいろいろな国からやってきた留学生たちがいつもいました。その人たちと英語で話していると、「人間はほとんど違いはないんだ」ということを身にしみて感じることができます。確かに違いはあります。たとえば宗教の違い、これは思想的な大きな違いをもたらします。ですが、普通の人間づきあいとして関るのであれば、違いは皆無に等しいです。騒ぎ好きなドイツ人、紳士的なブラジル人、まじめでちょっときつめな韓国人、フレンドリーな台湾人、根がしっかりしているカザフスタン人、女好きなポーランド人、いかれたオーストラリア人、大人なイギリス人、つかみきれないインド人...よくよく考えるとわかるんです、「日本にもこういう人たちはいるな」ということに(違いはそれぞれの人数ですね)。日本には日本人ばっかりがいるというのがいかに不思議なことかということが大きな発見でした。

ホームステイへの認識の向上

ホームステイは白と黒の両方があるんだということが身にしみてわかりました。合計3つのホームステイ先に滞在することになったのですが、初めのひとつは仲間内では「ありえないホームステイ」と呼ばれていました。「あなたの食事の量は生きていける量で十分なのよ!」といきなり宣告されたのがホームステイの始まりです。「いや、生きていける量が出たのだからいいのでは?」とお思いになるかもしれません。が!、それは違います。出てくるだけの量では動くのも億劫になるぐらいおなかが減るのですから。食べ物は大事です。おなかが減ると何もかもの希望が飛んでいくような感じさえします。
自分がその家で使えるものは限られていました。日本の文化の説明が禁止されていました。子供への怒鳴り声と子供の泣き声が四六時中聞こえてきます。「お金のためにホームステイをやっているのよ」と平気でいうホストマザーにはさすがの私も言葉が出ません。事情を聞いたエージェントがそのホームステイ先を首にしたのですが、そこから余計にことがおかしくなりました。首になったことで怒り狂ったホームステイマザーが、ヒステリーを起こし、部屋の中の荷物をかき回すは、ののしりを浴びせる始末です。最終的に「この家から1時間以内にでていけ!」と雨が降る中本当に家から放り出されたのは今となってはいい経験でしょう。この家庭を通して自分にたくましさ?のようなものが生まれたと、感じました(そう信じたいです)。

インターナショナルな子供への愛の注ぎ方の向上

むこうの家で相手をした子供の人数はおそらく30人以上!はっきり言って毎日毎日子供たちと遊ぶ日々です。わがままを言う小さな弟、妹分をたしなめては、仲直りさせたり、しかったり、笑ったり、ふざけたりして有意義な時間をすごすことができました。自分が親戚のうちで一番年下であったということもあり、今まで小さな子供を相手にする機会がまったくなかったのです。そんな自分にとって、外国で子供たちと遊ぶというのはかけがえのない経験になったといえるでしょう。子供がかわいすぎてたまらない!いい兄貴であれたと思います。

コトナカレ主義の向上

今までの自分は細かいことに気を回しすぎていたということに気がつきました。確かに考えることは大事です。ですが、考えすぎることは時には自分を追い詰めることにもなりかねません。カナダに行ってたくさんのストレスになるようなことはあったと思います。ですが、いちいちそのことを思い出して考えていくより、今の前の状況を見ることが大事なのだということがわかりました。「何をしても地球は回っている」「自分の一生は短い」...「たまには打ち上げ花火のように美しくはじけてみるのもいいものだ」、というのが自分なりに見つけた人生観です。

「年齢は関係ない」感覚の向上

向こうでは年の差はほとんど関係がありません。基本的に敬語がありません(あるといえばあるのですが。)どんな年をとった人でも、子供に対しても、普通にフレンドリーに話をすればもう友達です。日本で年齢に差があるから話しかけにくいという状況を作っているのは日本語そのものだということに気がつきました。

写真技術の向上

「いや、それは趣味だろ」とお思いになるかもしれません。いやはや、趣味も大事なものだと向こうで暮らしていて感じたんです。家族や友達との時間のかみ合わせの関係上、暇な時間というのもたくさんありました。ここで勉強!というのが留学生の基本でしょうね。ですが、自分のしたことは写真撮影。本を読むことは日本でもできます。写真はこの土地でしか撮れません。「旅行でもできることだろ!」とお思いになるかもしれませんね。旅行ではわからない、その土地での風習、人々の行動、自然の移り変わり...さまざまなことをファインダーを通じて学習できました。もちろん撮影した分、写真の知識も格段と上がったといえるでしょう。

これから留学する人へのアドバイス

TOEFLについては語学センターに行ったら自分の考えが書いたリーフレット?があります。それを見たほうが早いです。(極論→時間があるならTOEFLの点数にこだわる必要はなし。英語を楽しむことが大事、時間がないなら TOEFLのための勉強もしてみてもいいとは思います)

ホームステイについて

まずエージェントに対し、「お金には興味はありません」「ビジネスにも関係はまったくありません」「他の文化を受け入れることに楽しみを感じます」「ホームステイスチューデントに自分の文化を楽しんでもらいたい」「ホームステイスチューデントを家族の一員として扱いたいです(同居人ではない)」という項目をすべてその家族が同意しているかをチェックすることが大事です。「いえいえ、こんな細かなことはうちでは扱っていません」などと言うエージェントはあきらめたほうがいいです。心の居場所があるということは非常に大事なのです。見知らぬ外国で、孤独を感じるのはつらいことですから。心が安定していないと勉強どころではなくなります。たずね方もわからないのなら、学校の留学を斡旋してくれるところにお願いしてみるのもいいかもしれません。心のことがわからない人に留学を斡旋してもらうのはやめましょう。留学は心です。

行く前に身につけたい技術

人に聞くフレーズは覚えておいたほうがいいでしょう。「すみません、ここに行きたいんですけど」「こういう場合どうすればいいですか?」「写真をとってもかまわないですか?」行動に幅が出ますし、なにせ生きるのに楽できます。

泣き寝入りは危険

ホームステイスチューデントの中には、あまりそぐわないホームがあたった人たちもいます。その中ですぐにエージェントに言ってステイ先を変えてもらった人はいいのですが、いつまでも惨めな生活を送っていた人もいるようです。意外とステイ先を変えてもらうことは普通なので、少しでもそぐわないことがあったらエージェントに変えてもらいましょう。

男子留学生への注意点

「英語を勉強しに行ったのはいいが、会話も下手で何を話したらいいかわからない...そんな時僕が出会ったのはバスケットボール友達でした!」「そのまま毎日バスケットボールのコートに向かってゲームの日々...楽しい!」はい、楽しいだろう。だけどバスケットをやっていて英語はうまくなれません。「バスケ友達に英語を教えてもらおう!」...そうできるぐらいなら普通に友達ができます。かなりの男子留学生はこの魅力的なわなにはまって本来の目的を忘れています。自分でお金を出しての留学なら、スポーツ留学は最高だと思います。が、親が費用を払っている場合はそうも言っていられません。「カナダでスポーツだけやってこい!」という親がいるならそれはそれでまたすばらしいとも思いますが...

不思議なユースホステル

ユースホステルって何?と思う人も多少はいるでしょう。バックパッカー用の安い宿です。世界中にネットがあり、比較的安全です...あくまでホステルにいるぶんには。「ホステル内にいるぶんには」←ここがポイント。中には妙なストリートに面しているようなホステルがあります(私が泊まったホステル等)。昼間は特に問題はなかったんですけど、夜になるとすごい雰囲気になるんです、何がすごいってそりゃもう...まあホステルの周りにバーがたくさんある場合は要注意!オーストラリア人とイギリス人とで酒を飲んで同じようになっていた日本人(私)のような場合、周囲と溶け込んでOKだったんですけど、女性の場合気をつけたほうがいいです。変なやからがうようよいますんで。
が、そういう雰囲気がOKな人はどこのホステルでもいいでしょう。色んな人と出会えるので、世界観が広がります。ちなみに部屋はたこ部屋(たくさんの見知らぬ人が同じ部屋に泊まる)が普通です。プライバシーがないところはいや!という方、お金を出してホテルに行きましょう(ホステルだと一泊2000円ぐらいだけど)。

デジタルカメラを持っていく人へ

せっかく海外に行くのだから、写真をたくさん撮りたい!って方...もし、もしもですよ、カメラが壊れたらどうします?日本ならカメラ屋さんに持っていって一週間ぐらいで戻ってきますよね。さすが海外、日本の常識通用しません。私は半分写真が職業みたいな人なのですが、見事に壊れました、大事なデジカメが。しかも行きの飛行機の中で大破(CPUが)。「えー、それって機内に持ち込んでなかったんじゃないの?」という返答が友達からたくさん寄せられました。大事に手持ちバッグにいれていたんですけどね...そこでカメラ屋さんに持っていくと、「デジカメなのでそのメーカーの修理センターに送らなければなりませんね!」と言われ、調べてみると、果てしなく広い地域の中にようやく一件、地図を見ながら行きました...3時間かけて。そこまではいいですね。しかし!その後が悲惨でした。「修理に3週間ぐらいかかりますねー」3週間??、「日本から部品を取り寄せないといけないですね」とのこと。カメラの殆どは日本製です。売り場にはCanon、Nikon、Sony...など置いている割に、製品の修理ストックを置いているのは日本、なさけないぞカナダ!しかも、デジカメ全般+写真機材の値段がありえないぐらい高い! 一眼レフを使っているあなた、「フィルターは現地で購入しよう」という考え方は捨てましょう。レンズも高い!大体日本の市場の2倍の値段がします。日本ってつくづくいい国だなーと実感させられた瞬間でした(実はカメラが戻ってくるまで6週間以上かかっています。そういう国柄なんですかね...)。

現地での反省点

迷宮入りしたお金の管理

一番最初のホームステイ先に家計簿を捨てられて、自棄になったことでしょうか...途中で家計簿を再スタートさせるのには気力が要ります。私は、気力が出せなかった組ですね。最後の方ではお金が全体でどれだけ動いたかという把握がゼロに等しかったといえます(幸い、貯金から減ったお金を計算すると予算以内だったようです)。

3回目のテストでの爆死

「爆死」という言葉が本当に当たっています。何もわからなくなって、頭がフリーズしてしまいました。わからない言葉のじゅうたん爆撃とでも言えばいいでしょうか?一つの原因としては、完全に知らない分野に慣れないまま入ったことでしょうか。Biology331という講義は登録上の不備があり、受けたい授業ではなかったというのは正直なところです。どんな状況でもやっていける人はやれるものなんですが(日本語ならまだしも...)。2つ目の理由は、新しいタームが始まり教授が変わった瞬間にテスト形式が変わってしまったということです。勉強方法を見つけ出したのが、最終テストの時だったというのは皮肉な結果です(わからずじまいよりはいいですけれど)。

がたがたの食生活

カナダでは、炒めた野菜が皆無に等しいです。生野菜はでるにはでるんですけど、はっきりいって足りない量でした。「あなたの健康なんて私には関係ないわ!」というような真っ黒なホームステイに関係なしに、野菜の量は全体的に少ないです。とある家では、毎日がマクドナルドででるような料理しかでなかったとか...日本人のからだは胴が長い=腸がながい=野菜の消化に適している=肉の消化には適していない。このことがわかってもらえるとうれしいのですけれど、そうもいかないときもあるようです。肉ばかり食べていると、からだに異変が起こります(自分だけかもしれないですけど?)。朝起きると疲れが取れず、からだの感覚が麻痺しているようなときがありました。その時に役に立ったのがVegetable juice こと野菜ジュース。日本の野菜ジュースより安い!普通に缶ジュースタイプのものもあれば1リットルの大きなボトルもあります。正直な話、1リットルの野菜ジュースを見つけたときは、即刻買って1リットルを一気飲みしました(自分でも思い出すと少し引きますね。ですけど、追い詰められた人間というのはすごい力があります、いろんな意味で)。無理をしないでおきましょう。どんなに頑張っても私たちのからだは日本人なのですから。

留学における不満点

「第一歩を踏み外した」という表現があたっているでしょう。自分が登録したかった科目が、登録においての情報伝達の不備により受講できなかったのです。「聞かされていたのと話がちがう!」ということが実際おきたのですね。自分が学びたいことと違うということは非常に違和感を覚えるものです。日本語ならまだある程度割り切れるのですが、興味の無い講義の英単語を必死で覚えるというのはつらいですね、正直(講義が念仏のようにきこえたり...)。

最後に

大学生活というのは、何もしなければ本当に何も起こらないものだと、友達の話などを聞いているとよく思います。確かに何かに集中することって大事ですよね。結局大学生活を振り返ってみて、何をしたか、何が想い出に残っているかというのを楽しく言えるようにできたらいいんじゃないかと最近は感じます。型にはまらずいろいろやってみてください。いろいろ見えてくるはずです(頭の打ち方とか(笑))。