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学術講演会

2009年11月26日(水) 
薬学総合研究所・アンチエイジングセンター共催 第40回サイエンスフォーラムを開催しました。
小林先生

講演

リボソームRNA遺伝子と細胞老化

演者

 小林 武彦
 情報・システム研究機構 
 国立遺伝学研究所/総合研究大学院大学遺伝学専攻 教授
 専門は分子遺伝学。ゲノムが短期的(1細胞周期)、
 中期的(1世代)、長期的(進化に要する期間)に
 どのように維持、継承、変化して行くのかを解明。

講演内容

出芽酵母は出芽でふえる単細胞真核生物である。人類は古くから酵母の発酵能力を利用し、酒類を始めパン、しょうゆ等々の発酵食品を生産してきた。研究面においても、その遺伝学および分子生物学的解析の容易さから、様々な研究分野で利用される代表的モデル生物である。また老化研究においても、一般的に単細胞生物は生育条件がよければ無限に分裂し続けるが、出芽酵母は明らかな老化現象を示すことが知られている。分裂で生じる2つの細胞の内「母細胞」は徐々に老化が進み、約20回の分裂の後死んでしまうが、もう一つの「娘細胞」は逆に若返りを起こし、永遠に分裂し続けることができる。近年、酵母の寿命を左右するいくつかの遺伝子が同定され、分子レベルでの老化機構解明の糸口がまさに見えてきたところである。
 本セミナーではそのキーとなる遺伝子の一つ、リボソームRNA遺伝子(rDNA)に焦点を当てて紹介された。rDNAは染色体上に巨大反復遺伝子群を形成し、ゲノム中で最も安定性が低い「脆弱(ぜいじゃく)な領域」として知られている。そのためrDNAは細胞老化の一因であるゲノムの不安定化の実体と考えられる。今回、1. rDNA一般的な性質、2.rDNAの安定性維持機構、3.rDNAと細胞老化についてご紹介頂き、さらに、その特殊性と普遍性、またヒトへの応用の可能性についても紹介された。

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