あとがき
近畿大学自己点検・評価委員会委員長 宗像 惠

あとがき

本報告書は、各学部等の報告書篇・大学基準データ篇とともに、大学基準協会に平成12年8月に提出された相互評価申請のための自己点検評価報告書(相互評価報告書)の全学篇、及び同協会の相互評価認定通知書を収録したものであります。

全学篇では各学部、研究科、研究所等ごとに作成された自己点検・評価報告書にもとづいて、全学的視点から、点検・評価の主要項目ごとに詳しく分析と総括が行われています。また、今後の改善の方策と抱負も述べられています。従って総合大学としての本学の現状の全貌がここに示されているとともに、とりわけ終章においては、この現状を認識して、我々が未来に向かってとるべき重要な方策のエッセンスが提示されています。

本学相互評価報告書は大学基準協会による審査の結果、平成13年3月に本学は相互評価認定校として認定されたとの通知を受けました。このことは、本学の活動とその体制が第三者機関によって社会的に認知、評価されたことであり、今後の本学の諸活動を有利に支え、本学に対する社会の信頼と評価を保証するものとして大変喜ばしい結果であったと考えます。

このような評価と判定は、各学部等自己点検・評価委員会が集約した自己点検・評価活動の報告にもとづいて下されたものであり、今後のあらゆる外部評価や外部機関による審査においても、自己点検・評価活動の成果と蓄積がその基盤となることは言うまでもありません。近畿大学では、各学部等の自己点検・評価委員会の構成や性格については各学部の自主的判断に任されてきましたが、恒常的に活発に活動している学部では、定常的に委員会が開かれ報告書が作成されていて、それが教育課程や授業活動の改善・改革への指針と推進力となりつつあります。

平成13年5月に各学部等の自己点検・評価活動の近況を次の三点、

(1)
自己点検・評価委員会を定常的に開いているか
(2)
授業評価を行っているか
(3)
自己点検・評価報告書を定期的に作成しているか

についてしらべたところ、(2)については7学部が実施しています。その大部分は相互評価申請決定後、平成12年に行われたもので、相互評価の授業がよき刺激となって促進効果をもたらしたものと推察されます。(1)と(3)については、ほとんどの学部で必ずしも十分とはいえない状況であります。

今回の相互評価報告書において各学部等がみずから指摘している多くの課題や、また相互評価の認定書が指摘し改善を求めているコメントが、今後全学および各学部等において改善改革に向っての原動力、推進力となるためには、本報告書の終章でも述べられているように、改善・改革案を持続的に策定する自己点検・評価組織体制と、その案を持続的に強力に実行する運営組織体制の両方が、各学部等において確立されていることが必要であります。そして全学の自己点検・評価委員会の指針と支援のもとに、各学部等の自己点検・評価委員会が有機的につながって定常的持続的な活動を進め、自己及び第三者評価を積極的に受け入れて活用し、競争的環境のもとに個性輝く学園を建設してゆかねばなりません。

終章において改革に取り組む理念と10項目の重点的課題が述べられていますが、本学が相互認定後本格的な少子化時代の競争に勝ち抜き、輝かしい未来への展望を開きうるかどうかは、今後5年以内の歩みにかかっていると言っても過言ではないでしょう。そのためには先ず今在学している学生に充実した教育を施すことから始めるべきであるます。学生が何を求め、卒業生は母校をどう評価しているのかを徹底的に調べ、授業改善などの大学改革にいかすことが必要であります。我々は大学の体制を単に維持することから、学生中心の大学を創って行くのだという意識転換をはからなければなりません。

今後、IT革命とグローバル化が大学の姿を根底から変えていくことは間違いないでしょう。時代は大きな転換期にあります。新時代には新時代の理念を持った人のみが先導的役割を担うことができます。旧時代の理念にとらわれる人はどんなに他にすぐれたところを持っていても、新時代を担うことはできません。新時代の理念が大学の構成員各位に十分浸透するならば、大学のすべての改革はその理念からおのずから可能になります。本報告書が本学教職員に明るい展望と希望をあたえるとともに、改革の指針として活用され、実行に移されることを願ってやみません。

最後に全学編及び各学部等編の自己点検・評価報告書、ならびに大学基準データ篇の作成に携わっていただいた教職員各位に深甚の謝意を表する次第です。

近畿大学自己点検・評価委員会委員長 宗像 惠