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ニュースリリース

近畿大学、セシウムを99%以上取り除く「ゼオCa漆喰」を開発 除去能力と強度を両立、福島原発事故からの復興に寄与

2012年5月23日

 近畿大学(本部:大阪府東大阪市、学長:塩崎均)の森村毅非常勤講師(元教授・工学部)、多賀淳講師(薬学部)を中心とする研究グループは、水に溶けたセシウムをろ過して99%以上取り除くことができるうえ、建築物の壁や床材として使える強度を備える漆喰(しっくい)の開発に成功しました。

 セシウムを吸着する性質をもつ鉱物、ゼオライトを高濃度かつ特殊な方法で漆喰に混合することで、セシウム吸着能力と建材としての強度確保を両立させました。

 今後、東日本大震災に伴う原子力発電所事故によるさまざまなセシウム汚染に対し、セシウムの除去や封じ込めに活用できる可能性があります。研究グループでは今後、活用の方法について調査研究を進めていく考えです。

 研究グループは、ほかに薬学部の石渡俊二准教授、緒方文彦助教、原子力研究所の伊藤哲夫教授、山西弘城准教授らによって構成されます。

 今回開発した漆喰「ゼオCa(カルシウム)漆喰」は、漆喰製造時にゼオライトを石灰重量の3から4倍で混合したほか、製造時にカルシウムイオン水を添加することで、カルシウムイオン水を添加していないゼオライト漆喰の2から3倍の強度を確保しました。また、水が浸透しやすい性質も備えさせました。

 セシウム水溶液を「ゼオCa漆喰」でろ過する実験では、セシウムの99%以上が「ゼオCa漆喰」に吸着したことを確認しました。

 ゼオライトを混合した漆喰は従来、防臭・脱臭などにすぐれた建材として活用されてきました。しかし、耐水性がないうえ強度が小さく、崩れやすい欠点があり、今回の開発では、これらの欠点を克服しました。カルシウムイオン水で漆喰の強度を上げる技術は、近畿大学工学部の森村毅非常勤講師(元教授)が2010年、株式会社建築舎ゆわんと村(本社:広島県呉市、代表取締役社長:佐藤陽一)と共同開発した高強度漆喰で使われたものを活用しました。

 「ゼオCa漆喰」の用途として研究グループが想定するのは、セシウムで汚染された水や物質を浄化するフィルター兼建材です。セシウム汚染水では、汚染水を「ゼオCa漆喰」に通すことで、セシウムとセシウムを含む物質をろ過します。汚染物質については、水で土やほこりなどのセシウム吸着物を剥離してからろ過します。

 「ゼオCa漆喰」は、きわめて細かい孔(あな)が無数にある構造をしているため、目詰まりを起こしにくいのが特徴です。これにより、土などの固形物を含む汚染水をろ過する場合でも、目詰まりを少なくできます。また、「ゼオCa漆喰」は建材としての強度があるため、セシウム汚染物質からセシウムを除去・封じ込めるための施設において建材として活用できる可能性があると思われます。

 研究グループでは今後、(1) 「ゼオCa漆喰」のさまざまな活用方法の検討 (2) 「ゼオCa漆喰」の建材としての性能およびセシウム吸着能力のさらなる向上――などの研究を進めていく予定です。

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