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ニュースリリース

「バイオコークス」 近畿大学、北海道下川町でのハウス暖房活用実験を完了 約6トンのCO2排出削減に成功

2010年6月30日

―次世代バイオ・リサイクル燃料「バイオコークス」―
近畿大学、北海道下川町でのハウス暖房活用実験を完了
約6トンのCO2排出削減に成功、「低炭素農業」を実証

 

 植物由来の次世代バイオ・リサイクル燃料「バイオコークス」の開発を進めている近畿大学(本部:大阪府東大阪市、学長:畑博行)は、理工学部の井田民男准教授らの研究チームが、平成20年度経済産業省委託事業「低炭素社会に向けた技術シーズ発掘・社会システム実証モデル事業」の採択を受け、北海道下川町などと協力し、同町に自生する「イタドリ」などの植物をバイオコークスに加工してビニールハウスの暖房用燃料に活用(重油・灯油を代替)することで、一次産業への依存度が高い小規模都市における「低炭素化」モデルを実証するプロジェクトに取り組んできました。

 このほど、2009年末から2010年春にかけて、地元農家の協力を得て、ビニールハウス暖房の燃料を重油・灯油からバイオコークスに切り替えたうえで、実際にトマトを栽培していただきながら、各種データを記録した実証実験が終了し、以下のような研究成果がまとまりました。

(1) 灯油/重油ボイラーから固体燃料ボイラーに転換を行い、4カ月間、運転を行うことに成功した。
(2) 同期中、約10トンのバイオコークスを消化、ハウス温度を約20℃に保持し、トマト栽培に成功した。
(3) 灯油/重油を使用した場合と比較して、バイオコークス利用により、CO2約6トンの排出削減に成功した。
(4) これらの結果から、冬期の加温ハウスのエネルギー源を重油/灯油からバイオコークスに転換することによる「低炭素農業」の実現が可能であることを実証した。

 また、今回の実証実験では、下川町に自生するイタドリなどの草本バイオマスだけでなく、木くずやジュースの搾りかす、もみガラなどから製造したバイオコークスも燃料に用い、いずれもハウス加温が可能であることを実証しました。
 近年、農業における低炭素化、とりわけ冬期の加温ハウスでのCO2排出削減は、世界的なテーマとなっています。井田准教授は、今回の成果について「バイオコークスをエネルギー源とする低炭素農業・CO2循環型農業が今後、北海道のみならず日本各地、さらには世界各国へと拡大していく可能性を示している」と話しています。

 実用化へ向けた最大の課題は、バイオコークスの価格をはじめとする経済性にあります。研究チームでは今後、コストパフォーマンスの向上と年間を通じてのハウス栽培(夏季・クーラーによるトマト栽培)の実証、さらにバイオコークスボイラーの性能向上とコストダウンを推進し、市場導入を検討していく予定です。

 

参考資料1

北海道下川町におけるプロジェクトのイメージ

参考資料2

090519-2.gif

バイオコークスとは (右の図を参照)

  • バイオコークスは、飲料工場から大量に排出・廃棄される「茶かす」をはじめ、ほぼ全ての光合成由来バイオマスから製造可能で、製鉄・鋳造炉で燃料として使われる石炭コークスの代替となる、新しい固形燃料です。石炭コークスの課題である化石燃料依存(=天然資源枯渇)や輸入価格変動のリスクを解決する、まったく新しい国産エネルギーとして期待を集めています。近畿大学理工学部の井田民男准教授が開発しました。
  • バイオコークスには、(1)原料の100%を活用できる(製造時に新たな廃棄物が出ない=ゼロ・エミッション) (2)石炭コークスよりCO2排出量を削減できる(植物由来のため排出量はゼロカウント) (3)食糧や飼料を原料として消費せずに済む(ほぼすべての植物由来廃棄物が原料になる)――という利点があります。また、石炭コークスの代替だけでなく、家庭用燃料を含む、さまざまな用途に活用できる可能性が高いとみられています。
  • 近畿大学は2008年4月、北海道恵庭市に「近畿大学バイオコークス量産実証実験センター」を開設し、実証試験に使うバイオコークスの製造を開始。同年4〜7月、(株)豊田自動織機の東知多工場(愛知県)で、自動車エンジン部品を製造するキュポラ炉での実証試験を行い、製品製造工程への影響なくしてバイオコークスが石炭コークスの11.4%を代替できることを確認しました。
  • 近畿大学は2009〜2010年、北海道下川町で、自生する植物をバイオコークスに加工し、ビニールハウス暖房燃料に利用(重油・灯油を代替)する実験を実施。自走式製造装置(作業車両)を導入し、バイオマス集積地での直接加工・製造に成功しました。
  • 近畿大学は2010年4月、(株)ナニワ炉機研究所と共同で、24時間で約1トンの製造能力を持つ実用(商用)タイプのバイオコークス製造装置を開発。現在、産業利用を想定したさまざまな実証試験を行っています。また、原料(バイオマス)の供給確保やバイオコークスの活用ニーズなど、産業化に必要な環境整備のため、関係各方面との交渉を進めています。

近畿大学ホームページ バイオコークス紹介ページ

http://www.kindai.ac.jp/bio-coke/

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