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ニュースリリース

近畿大学水産研究所 世界初、完全養殖クロマグロ養殖用稚魚を出荷 「近大マグロ」普及、天然資源保全へ大きな一歩

2008年1月 9日

 近畿大学水産研究所(和歌山県白浜町、所長:熊井英水)では、2007年12月6日、同研究所大島実験場(同県串本町)で人工孵化させ飼育していた第3世代人工孵化(完全養殖)クロマグロの稚魚1,500尾を、養殖用種苗として、国内養殖業者に初出荷しました。
 クロマグロのいわゆる完全養殖は、近畿大学水産研究所が世界で唯一、成功しています。これまでは、成魚を国内外へ販売してきましたが、今回、その稚魚を外部の養殖基地へ出荷する道も開けたことで、安全で美味な完全養殖「近大マグロ」を、より大量に育て、食卓に供給できる可能性が広がりました。

 出荷先は、熊本県天草市の福吉魚類株式会社。愛媛県宇和島市の秀長水産株式会社を通じ、船舶で輸送されました。輸送中に死亡した稚魚は23尾で、生存率は出荷時の98.47%。現地到着後も順調に生育しており、2007年12月25日現在の生存率は、出荷時の93.8%を保っています。

 クロマグロの完全養殖とは、「孵化→生育→産卵→孵化」という世代交代サイクルを養殖施設内で実現するもの。今回、出荷された稚魚は、完全養殖の2サイクル目として、2007年7月に大島実験場で生まれました。
 完全養殖では、完全な管理によって品質や安全性が確保できるうえ、天然資源を減らさずにクロマグロを生産・供給できます。これまでも、外部養殖業者から、完全養殖クロマグロの稚魚を販売してほしい、との要望は多くありました。
 今回の取引は、?近畿大学水産研究所での完全養殖稚魚の生産量が増え、外部へ出荷する尾数が確保できた ?輸送中や輸送先での環境変化による死亡などのリスクを軽減する技術革新が進んだ――ことが背景にあります。輸送の際は、稚魚が水槽の壁に激突死することを防ぐため、壁面や照明などに細心の対策を施しました。

 完全養殖クロマグロを養殖用種苗として外部出荷できたことで、天然資源を減らさないクロマグロ完全養殖に、新たな可能性が広がりました。近畿大学水産研究所では今後、稚魚の生残率を高め、コストダウンを模索することで、品質と安全性に定評のある完全養殖「近大マグロ」を、より多くの食卓に供給できるよう、研究を進めていく方針です。

 また、近畿大学水産研究所と大学院農学研究科は、文部科学省の「21世紀COEプログラム」に選定(2003〜2007年度)されています。「人工孵化クロマグロ種苗生産の産業化」は、同プログラムの目標のひとつであり、今回の出荷で、目標達成が確実となりました。

出荷までの経緯

 

7月11・12日
第2世代人工孵化クロマグロの受精卵86万粒を陸上水槽に収容
8月 1日
生残尾数:5万尾
大きさ:全長18?
8月13日
〜17日
稚魚を海上生簀に沖出し
生残尾数:19,437尾
大きさ:全長52〜82?
12月6日
第3世代人工孵化クロマグロ養殖用種苗1,500尾を世界初出荷
※出荷分における生残尾数:1,477尾
大きさ:全長440?
12月25日
福吉魚類株式会社で順調に生育中
※出荷分における生残尾数:1,407尾
大きさ:全長458?

 

■■参考資料■■


秀長水産株式会社
〒798-0005 愛媛県宇和島市築地町2丁目6‐24
TEL:0895-25-3305 FAX:0895-22-1808 URL:http://www.hidecho.co.jp/

福吉魚類株式会社
熊本県天草市楠浦町2-103
TEL:0969-22-4553 FAX:0969-23-7287

 

■■参考資料■■

 

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