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研究

チオフェンとケイ素をつないだ共役系物質を開発~高性能の有機半導体などへの応用に期待~

近畿大学理工学部(大阪府東大阪市)応用化学科の准教授 松尾 司、講師 仲程 司、教授 藤原 尚らの研究グループは、有機半導体に欠かせない「チオフェン※1」とケイ素の二重結合(ジシレン)をつないだ新しい「共役系物質※2」を開発しました。この物質は、チオフェンの数が増えると色彩が変化し、室温で発光する特徴を持っています。このたび、本件に関する論文が、アメリカの学術機関「アメリカ化学会(ACS)」が発刊する『Organometallics』の電子版に平成29年(2017年)8月22日(火)に掲載されました。 ※1 チオフェン•••硫黄と炭素からなる5員環の化合物 ※2 共役系物質•••単結合と二重結合が交互に配列した機能性物質の総称

【本件のポイント】
● 有機半導体に欠かせないチオフェンとケイ素の二重結合をつないだ新物質を開発
● チオフェンの数により化合物の色彩や発光の性質を制御することに成功
● 高性能の有機半導体※3などへの応用、省エネルギー技術の革新につながると期待
※3 有機半導体•••半導体としての性質を示す有機化合物の総称。

【本件の概要】
単結合と二重結合が交互に配列した「共役系物質」は、機能性有機材料として幅広く利用されています。特に、硫黄を含む5員環の化合物である「チオフェン」を複数個つないだ「オリゴチオフェン」は、有機薄膜太陽電池や有機トランジスタ、有機ELなどの有機電子デバイスの開発に不可欠な化合物群です。
研究グループは、チオフェンとケイ素の二重結合(ジシレン)をつないだ新しい共役系物質を開発しました。この物質は、チオフェンの数を変えることで、その色彩や発光の性質を制御することが可能であり、将来的には、高性能の有機半導体など有機電子デバイスへの応用が期待されます。
今後は、今回の成果に基づき、チオフェンやケイ素をさらにつなげたポリマーを開発することで、電子工学や省エネルギー技術の革新につながることが期待されます。なお、本研究は文部科学省「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」に採択された「太陽光利用促進のためのエネルギーベストミックス研究拠点の形成」の一環です。

【掲載誌】
◆雑誌名・・・『Organometallics』
         アメリカの学術機関発刊
         インパクトフェクター 3.862(平成28年版)
◆雑誌名・・・"π-Conjugation between a Si=Si Double Bond and Thiophene Rings: Synthesis, Structural Characteristics, and Photophysical Properties of 1,2-Bis(thiophen-2-yl)disilene and 1,2-Bis(2,2'-bithiophene-5-yl)disilene
◆著者・・・Naoki Hayakawa, Shogo Nishimura, Nobuhiro Kazusa, Nozomu Shintani, Tsukasa Nakahodo, Hisashi Fujihara, Manabu Hoshino, Daisuke Hashizume, and Tsukasa Matsuo

【研究の詳細】
単結合と二重結合が交互に配列した「共役系物質」は、さまざまな機能性有機材料に幅広く利用されています。特に、硫黄を含む5員環の化合物である「チオフェン」は、共役系物質のビルディングユニットであり、チオフェンを複数個つないだ「オリゴチオフェン」は、有機薄膜太陽電池や有機トランジスタ、有機ELなどの有機電子デバイスの開発に不可欠な化合物群です。オリゴチオフェンは、有機化合物の特徴である柔軟性と軽量性を備え、有機半導体材料や導電性材料、液晶材料などへの応用が世界中で進められています。
ナノチューブなどのオリゴチオフェンを基盤とした材料化学を専門とする 仲程 司 講師、藤原 尚 教授らと、ケイ素化学を専門とする 松尾 司 准教授らからなる研究グループは、合成技術を駆使することで、チオフェンとケイ素の二重結合(ジシレン)をつないだ新しい共役系物質を開発することに成功しました。合成した物質は、チオフェンの数を変えることで、その色彩や発光の性質を制御できることを見いだしました。

【今後の展望】
 ケイ素を含む共役系物質は、炭素の共役系物質と比べて省エネルギーで発光することが実証され、一部の誘導体は試薬製品化されています。今後は、今回の研究を発展させて、チオフェンに様々な置換基を修飾して共役系物質の電子物性をファインチューニングするとともに、チオフェンやケイ素をさらにつなげたオリゴマーやポリマーを開発することで、電子工学や省エネルギー技術の革新につながることが期待されます。

【研究者プロフィール】
近畿大学 理工学部 応用化学科 准教授 松尾 司(まつお つかさ)
研究テーマ:典型元素化合物や遷移金属錯体の合成と機能開発
専   門:元素化学、無機化学、有機金属化学、錯体化学
平成11年(1999年)筑波大学大学院博士課程化学研究科修了 
          博士(理学)
          日本学術振興会特別研究員(PD)
          筑波大学先端学際領域研究センター助手
平成13年(2001年)分子科学研究所錯体化学実験施設助手
平成19年(2007年)理化学研究所機能性有機元素化学特別研究
          ユニット副ユニットリーダー
平成24年(2012年)近畿大学理工学部応用化学科准教授

近畿大学 理工学部 応用化学科 講師 仲程 司(なかほど つかさ)
研究テーマ:有機無機複合ナノ材料開発、フラーレン、有機セレン化合物、超臨界二酸化炭素を用いた触媒反応
専   門:ナノ機能物質化学
平成10年(1998年)筑波大学大学院博士課程化学研究科修了
          博士(理学)
          日本学術振興会特別研究員(PD)
平成14年(2002年)(財)日本国際問題研究所 軍縮・不拡散促進センター
          軍縮研究員
平成16年(2004年)筑波大学先端学際領域研究センター研究機関研究員
平成18年(2006年)近畿大学理工学部応用化学科助手
平成22年(2010年)同講師

近畿大学 理工学部 応用化学科 教授 藤原 尚(ふじはら ひさし)
研究テーマ:キラルハイブリッドナノチューブを用いた光不斉触媒の開発
専   門:ナノ有機無機複合化学、元素化学、不斉化学
昭和55年(1980年)近畿大学大学院工学研究科修了 工学博士
昭和56年(1981年)米国カンザス大学化学科博士研究員
昭和60年(1985年)筑波大学化学系助手
昭和62年(1987年)同講師
平成6年(1994年)近畿大学環境科学研究所助教授
平成9年(1997年)近畿大学理工学部助教授
平成12年(2000年)同教授

【「太陽光利用促進のためのエネルギーベストミックス研究拠点の形成」の概要】
■研究内容
太陽光エネルギーを利用して水素ガスやメタノールといった1次エネルギー物質を生成する際に必要不可欠とされるソーラー触媒の開発や人工光合成における化学的機能の開拓(研究テーマ1)を推進します。同時に、ウェアラブル端末などに広く利用可能な薄膜太陽電池における光電変換効率の高効率化(研究テーマ2)、さらには、光磁気機能を駆使した省エネルギー記憶媒体に関わる基盤的物質の創成(研究テーマ3)を目指します。

■プロジェクトの波及効果
東京電力福島第1原子力発電所の事故以降、わが国のエネルギー政策は歴史的な転換期にあり、利用可能なエネルギー資源の特徴を生かしつつ各々を効果的に運用していくための施策を必要としています。その際、立ち遅れの目立つ太陽光エネルギー利用についても可能性をポジティブに評価したうえで有効に活用していく必要があります。太陽光エネルギー利用の可能性を最大限に引き出すための基盤的研究を推進します。

■プロジェクトの将来と人材育成
総合理工学研究科・理工学部の教員16人の参画を得て発足した本研究プロジェクトは将来的に近畿大学における原子力、火力、太陽光研究をゆるやかに束ねる総合エネルギー研究開発拠点として社会基盤の整備等に関して科学的見地から発信力を強化していくことを目指します。また、活動を通じて優れた人材の育成に力を尽くします。









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