KINKI UNIVERSITY
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概要

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ご挨拶

研究代表者 藤原 尚

 近畿大学理工学部では、この度、文部科学省の平成26年度私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に申請していました、研究プロジェクト「太陽光利用促進のためのエネルギーベストミックス研究拠点の形成」(平成26-30年度)が採択されました。本研究プロジェクトでは、太陽光とエネルギーベストミックスをキーワードとして、サステイナブル社会を目指したソーラー触媒・高効率光エネルギー変換システム・省電力素子を開発します。これらの研究を推進していくた めに、物理化学・無機化学・有機化学・高分子化学・光電気化学・材料物性化学を専門とする理工学部と総合理工学研究科に所属する教員がプロジェクトに参加し、これら異分野の学問的融合を図り、新しい学際領域の構築を目指します。
本プロジェクトを実施していく教員は、従前より研究成果を評価の高い国際学術誌に公表するとともに、科学研究費をはじめとする外部資金も多く獲得している研究実績のある方々です。「研究論文に着目した日本の大学ベンチマーキング2011,文部科学省 科学技術政策研究所,2012年9月28日:化学分野における日本の大学の量と質の状況(2007-2011年)」の調査資料では、近畿大学はベスト38校の中に選ばれており、近畿大学の理工系教員が高い潜在的能力を有していることは明らかですが、プロジェクトの実施にあたっては、常に、外部評価委員の意見をフィードバックして研究を推進していきます。さらに、本学の原子力研究所やバイオコークス研究所などと連携して「近畿大学エネルギーフォーラム」を構築したいと考えています。
本プロジェクトは、化学物質の合成・計測・評価を担当する教員・研究者同士が討論を常に行い、共同研究を実施することにより、研究者間の緻密な人間関係が構築され、教育にも大きな波及効果が生じることが期待できます。今後は、教員と学生・院生が一丸となって、本プロジェクトを発展させ、総合大学の特徴を活かした異分野融合型の先端的研究の推進を目指していくとともに、博士研究員を含めた若手研究者の育成にも力を注ぎ、社会の持続的進化に貢献する研究拠点を形成したいと考えています。皆様方のご支援・ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。

近畿大学エネルギーフォーラム構想

 近畿大学は西日本随一の規模を誇る私立の総合大学として、関西地区を中心に80年余の歴史を刻んでまいりました。現在、3万人の学生と6千人の教員が活動し、毎年6000名を越える卒業生が巣立っていきます。東大阪の本部キャンパスは近畿大学のなかでも最大の事業所であり、地域に根差した幅広い教育研究活動の中心的役割を果たしてきました。

近畿大学には昭和35年設立の原子力研究所があり、長年多くの技術者を輩出してきました。近年、原子力の安全管理が厳しくなるなか、技術者養成の使命は今後ますます重要になるでしょう。また、バイオコークス研究所は資源を無駄なく利用する技術で国内のみならず海外においても大きな功績をあげています。これらの研究所と手を携えてエネルギーのベストミックスについて未来志向で語り合う新しい関係を近畿大学に構築したいと考えています。

本研究プロジェクトは、近畿大学大学院総合理工学研究科・理工学部の化学系を中心に、電気電子工学系も参画して開催された研究会を契機として、光触媒、薄膜太陽電池、外場応答性素子の開発など、近年目覚しい発展のみられる新しい分野において共同研究を推進する計画を立案したところからはじまりました。内容は大きく光物質変換、光エネルギー変換、省電力素材の3つの研究分野からなり、光エネルギー利用促進の立場から研究を推進します。原子力研究所やバイオコークス研究所などとともにこの産声をあげたばかりのプロジェクトが教員と学生の闊達な研究と議論の機会を提供できる組織に育つことを望んでいます。

事業構想

太陽光利用促進のためのエネルギーベストミックス研究拠点の形成

研究目的・意義

太陽光は枯渇することのないエネルギー源であるという認識のもとに高度経済成長期から研究投資が進められたが、21世紀に入った現在もその利用は限定的である。一方、国連気候変動問題会議(COP3京都会議)が指摘する地球温暖化や自然災害によって誘発される原発事故等により、人類の生存圏は浸食の危機にある。太陽光エネルギー利用率を火力や原子力と肩を並べるまでに成長させることが、資源の乏しいわが国にとって火急の課題であることは言うまでもない。太陽光は、第一に二酸化炭素や放射性廃棄物を排出しないクリーンなエネルギー供給ができる、第二に国や地域に応じて自立した安定供給ができる、第三に電気・熱・化学エネルギーなど多様な形態で利用できるという利点を持つ。本研究プロジェクトでは太陽光利用促進のための基盤的研究を推進し、近畿大学に新しいエネルギーバランス研究の拠点を形成する。

研究計画・研究方法

研究体制

 本研究プロジェクトにおいては、物質系工学専攻・エレクトロニクス系工学専攻・理学専攻から、光科学研究に携わる精鋭チームを組織し、太陽光利用促進のための連携研究支援体制を構築する。

研究拠点は3つの研究チームにより構成される:
(1) 光結合変換に基づく新たな化学合成経路の開拓をテーマとする「光物質変換」研究チーム
(2) 光電変換デバイスの高効率化を主なテーマとする「光エネルギー変換」研究チーム
(3) エネルギー利用効率改善のための物質開発をテーマとする「省電力素材」研究チーム

 太陽光エネルギーの効率的利用法の開拓を目指す3つの研究チームが連携して素材開発からデバイス応用まで推進するとともに、PDを積極的に活用し、次世代を担う有為の人材を育成する。また外部評価委員を含む近畿大学エネルギーフォーラムを組織して研究支援体制を強化し、プロジェクトの進捗を統括する。

研究テーマ : 3本の柱
  • 光物質変換
  • 光エネルギー変換
  • 省電力素材

年次計画

 太陽光をエネルギー源の中核に据える際、(1)光物質変換、(2)光エネルギー変換、(3)省電力化を三位一体で推進していくところに初めて現実味が生まれてくる。まず、ソーラー触媒による光物質変換を駆使してメタノールや水素等、1次エネルギー物質の生成を実現する(研究テーマ1)。
また、新規な光電変換材料の開発によって現在10%程度に止まっている薄膜太陽電池の光電変換効率を実用化の目途とされる15%以上に引き上げる(研究テーマ2)。
さらに、外場応答性分子素子の開発によってこれを電子機器の更なる精密小型化と省電力化への基盤技術とする(研究テーマ3)。
最初の3年間で達成度を評価・分析し、太陽光利用の将来を見据えて原子力、火力、太陽光のエネルギーベストミックス比率について解答を示す。
さらに4年目以降は近畿大学エネルギーフォーラムに学内外の専門家を結集し、わが国のエネルギー需要と供給の安定基盤構築を議論する場としてこれを拡充し、国際会議を開催する。

研究により期待される効果

 本研究によって第一に、太陽光の利用形態を1次エネルギー物質の生産まで多様化させ、社会基盤の革新に導く効果が期待できる。第二に、光電変換デバイスの高効率化を実現し、太陽光発電の利用促進に寄与することができる。第三に、省電力素材の開発により、消費エネルギーの総量を抑制する効果が期待できる。即ち、太陽光による触媒反応が化学製品の生産に利用できるようになると、従来必要とされた化石エネルギー等の節約が期待できる。また、太陽電池の高効率化によって自立した電源の確保が期待できる。さらに、省電力素材の普及は総エネルギー消費量の削減につながることから、これらが相乗的に機能することによって、太陽光エネルギーの利用率を相対的に高めていく効果が期待できる。まずは、近畿大学化学系ならびに電気電子工学系の総力を結集して太陽光エネルギー利用の到達地点を見極め、さらに既存のエネルギー資源との調和を図りながら、将来のエネルギー資源の確保と活用法を先取りする新しい研究拠点の礎としたい。

研究プロジェクトの位置付け

 本研究プロジェクトは立遅れが目立つ太陽光エネルギー利用研究について本学の理学系と工学系研究者から選りすぐりを組織して立上げるものである。わが国のエネルギー政策はいま歴史的転換期にあり、利用可能なエネルギー資源の特徴を活かしつつ各々を効果的に運用していくための施策を必要としている。本研究プロジェクトは将来的に、近畿大学における原子力、火力、太陽光研究をゆるやかに束ねる統合エネルギー研究開発拠点となり、社会基盤の整備に関して科学的見地から発信力を強化していくことを目指す。

研究プロジェクトの学術的な特色と意義

(1)ソーラー触媒によって生産される化学物質は太陽光エネルギーの蓄積にほかならない。その実例は光合成等の生体化学から酸化チタンの無機化学まで幅広い。後者は紫外光によって有機物の分解を促進することが知られており、今後は可視光を利用する手法が求められる。また本研究プロジェクトでは二酸化炭素と水を光によってメタノールに変換する研究が進行中であり、その基盤技術は学術と応用の両面で価値が高い。さらに光誘導型水素発生機構は光エネルギー変換と貯蔵を組み合わせたバックアップ電源の動作原理として重要な意味をもつ。

(2)太陽電池への応用が可能な光電変換素子の開発は、太陽光利用の普及を左右する重点な研究課題である。
そこで精密な化学合成技術を基礎にボトムアップ型の高次集積素子を構築し、高い変換効率を有する光電変換デバイスの開発を行う。金属多核錯体や半導体量子ドットを応用したデバイスの研究において既にその端緒は明らかである。

(3)電子デバイスの小型化はそれ自体が省電力化への正道であることに疑いの余地はない。それは、近年増加の一途をたどる通信機器や情報端末における消費電力の低減につながり、エネルギー利用の枠組みを変えるほどの効果が見込まれる。情報記憶や画像表示を担う最小単位は分子であり、分子を光などの外場によって制御することが究極の省電力素子の実現につながる。光誘導型の磁気ヒステリシスを示す分子錯体による情報記憶機能の開拓、偏光特性を活用した画像表示素材の開発は社会基盤全体の省電力化に寄与する。
当該研究プロジェクトが推進する光物質変換光エネルギー変換省電力素材の研究は、いずれも太陽光利用を促進する代替エネルギーの一部と捉えることができる。将来のエネルギーベストミックスに貢献できる。

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