理工学部の竹原幸生教授と江藤剛治教授が平成22年度土木学会論文賞を受賞しました
近畿大学理工学部社会環境工学科の竹原幸生教授と江藤剛治教授が、平成22年度土木学会論文賞を受賞しました。
受賞した論文は、二つの点で高く評価されました。第1に画像追跡により、流れの時間と場所による変化を、世界最高レベルの精度で計測する技術を開発したことです。第2にはその技術を、風により生じた波で波面直下に生じる渦の計測に適用できるようにしたことです。
重要な地球環境問題の一つである地球温暖化は、大気中の炭酸ガス等の増加が原因で起こります。これらの温暖化ガスは海中に取り込まれる性質があり、この波面直下の渦が海中に温暖化ガスが取り込まれる過程において、大きな役割を果たしていることがわかっています。
今回の研究は、このような課程の解明に大きな役割を果たす研究として、高い評価をうけました。
土木学会は会員数約3万人を有する主要な学会の一つであり、授賞式は平成23年5月27日、第97回定期総会の席上、行われました。
受賞対象論文:MLSを導入したPTVによる渦度推定法の提案と風波流速場への適用,土木学会論文集B,Vol.65, №3,pp.151-165,2009
(詳しい内容)
画像解析による流れの計測法は、流れと共に運動する多数の微小なトレーサー粒子をビデオカメラで撮影し、トレーサー粒子を追跡して流速を求める方法です。竹原教授は近畿大学に着任した平成元年からこれまで22年間、江藤教授と共に流れ場の画像計測法に関する一連の研究開発を行ってきており、開発した手法は、これまで提案されたものの中でも世界レベルの空間解像力をもつ手法の一つとして、高く評価されています。
受賞対象論文では、さらに画像計測により得られる流速分布から、渦の強さを表わす渦度を高精度に推定する方法を新たに提案しています。特に、実際に用いる場合に問題となる渦度を求める上で、最適な適合サイズを理論的に求め、シミュレーションにより理論的に求めた最適適合サイズの検証を行っています。さらに、提案した手法とこれまでの手法による誤差の比較を行い、全てのケースにおいて提案した手法が高精度であること示しています。
加えて、地球環境問題に関連する炭酸ガス等の海洋への輸送現象に対し、最も重要となる風波表面近傍の流れ構造解明に、開発した一連の画像計測手法を適用。高速ビデオカメラと画像計測法を用いて、これまで困難であった風波界面近傍の流れ場計測を可能にしました。得られた流速分布系列に対して提案した手法を適用し、風波界面で生じる渦の発生、移動、発達などの時空間特性を解析し、風波界面を通した物質輸送の解明に大きく貢献しています。
以上のことから、対象論文は先駆的かつ独創的な研究であり、今後の土木工学分野の研究において、貢献が大きく期待されることから、論文賞にふさわしいと認められました。
