近畿大学水産研究所と附属新宮高校が連携、同高校に水産養殖講座を導入 クロマグロ完全養殖体験、マダイ・チョウザメ養殖実習など「現場」重視のプログラムを構築
近畿大学(本部:大阪府東大阪市、学長:畑博行)は2010年4月から、附属新宮高等学校(和歌山県新宮市、校長:橋本昭彦)の新1年生の「総合学習」の授業に、水産研究所(本部:和歌山県白浜町、所長:村田修)が企画・実施する水産養殖講座を導入します。
同講座は3年間※かけて水産養殖を総合的に学ぶ本格的な内容で、世界初のクロマグロ完全養殖成功で知られる水産研究所の教授陣による講義、同研究所施設での体験学習などに加え、指導を受けながら高校生自身がマダイやチョウザメ、アユ、アマゴの養殖に取り組みます。同高校ではさらに、2011年度から水産専門科目(選択科目)を設定することも検討しており、大学の研究施設と附属高校が直接連携する「新しい高大連携プログラム」を発展させていく方針です。
※3年次は受験対策に配慮して原則として5月まで開講。ただし希望者は通年で受講できます。
水産研究所にとっては、高い学習意識と知識を備える生徒を大学に迎え入れることで、中長期的な研究人材の育成・確保に役立ちます。一方、附属新宮高校にとっては、同研究所と地理的に近い利点を生かし、世界最先端の研究開発に触れることで、水産や生物、バイオテクノロジーなどの分野への進学を志す生徒に有益な学習経験を提供できます。
2010年度に行われるプログラムの対象となるのは、附属新宮高校の新1年生で、私立大学進学を目指す「フロンティアコース」で学ぶ2クラス計60名(予定)。1年次は全員が受講し、2年次以降は理系コースを選択する生徒を対象とします。3年次は生徒の受験対策に配慮して原則として5月までの開講としますが、水産・バイオ系の大学進学を目指す生徒など希望者についてはAO入試などに対応できるよう通年で学べるようにします。
毎月2回(各2時限)の「総合学習」での講義をベースに、水産研究所での施設見学や水産実習(研修)を組み入れます。1年次は「クロマグロをはじめとする水産養殖体験」、2年次は「養殖をとりまく諸問題の探求」に重点を置き、3年次のレポート作成・研究発表につなげます。
講義では、水産研究所の研究者が講師を務め、水産養殖の基礎から市場での流通まで幅広く学びます。実習では、同研究所浦神実験場にマダイなどのいけす、新宮実験場にチョウザメ・アユ・アマゴの養殖用水槽を新たに設置。これらを使って受講生が、研究所スタッフの指導を受けながら実際の養殖に挑戦します。さらに、世界的な注目を集めるクロマグロ完全養殖についても施設見学、養殖体験や人工孵化観察などを通して深く理解する機会を設けます。
ほかにも、いけすでの給餌や魚の解剖、病理学実習など、研究所の施設を活用し、「現場」での実体験を豊富に提供する「実学」重視のプログラムとなります。(プログラムの詳細は別紙をご参照ください)
附属新宮高校では、生徒たちが今回の試みを通して、水産分野にとどまらず環境や食糧、流通などさまざまな領域への探求心を抱き、それぞれの進路決定に役立ててくれることを期待しています。
水産養殖講座 3年間のプログラム(予定)
| 学年 | 活 動 | 内 容 |
|---|---|---|
| 1 | ・水産養殖基礎講座(1) | 水産養殖の基礎知識について |
| ・水産養殖基礎講座(2) | 実験場見学(浦神、新宮、大島、すさみ、白浜) | |
| ・水産養殖基礎講座(3) | 養殖用種苗生産について | |
| ・水産養殖基礎実習 I | マダイ養殖 | |
| ・水産養殖基礎実習 II | チョウザメ・アユ・アマゴ養殖 | |
| ・マグロ完全養殖基礎講座・実習A | マグロの完全養殖について | |
| ・マグロ完全養殖基礎講座・実習B | マグロいけす給餌 | |
| ・マグロ完全養殖基礎講座・実習C | マグロ人工孵化観察・水温と孵化時間の関係について | |
| ・近畿大学農学部見学 | ||
| 2 | ・水産養殖基礎講座(4) | 養殖魚販売の現状と課題について |
| ・水産養殖基礎講座(5) | 養殖魚の疾病について | |
| ・水産養殖基礎講座(6) | 水産業・環境に関する諸問題について | |
| ・水産養殖基礎講座(7) | 魚の流通・経済について学び、現在注目されている第6次産業を理解する | |
| ・水産養殖基礎講座(8) | 2年間の学習に関するレポート作成のノウハウについて | |
| ・水産養殖基礎実習 III | 魚病学実習 | |
| ・水産養殖基礎実習 IV | 魚の解剖実習 | |
| ・水産養殖基礎実習 V | 串本海中公園における生態系観察実習 | |
| ・近畿大学生物理工学部見学 | ||
| 3 | ・水産養殖基礎講座(9) | 水産学習レポート作成 |
| ・水産養殖基礎講座(10) | 水産学習研究発表会 |
参考資料
近畿大学附属新宮高等学校
所在地: 和歌山県新宮市新宮4966
生徒数: 297名(2009年度)
URL: http://www.shingu.kindai.ac.jp/
近畿大学水産研究所
本部所在地: 和歌山県白浜町3153
URL: http://www.flku.jp/
