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絶滅危惧種「ニッポンバラタナゴ」を里山で"復活"へ  近畿大学農学部、ビオトープの自然環境で繁殖めざす

 近畿大学農学部(奈良市中町、学部長:宇都宮直樹)では、環境管理学科水圏生態学研究室(北川忠生講師)が2010年2月9日(火)、キャンパス内の里山にあるため池(希少魚ビオトープ)に、環境省レッドデータブックで絶滅危惧 I A類に分類されるコイ科魚類のニッポンバラタナゴ(写真下)を放流します。
里山は、農業などの人間生活と自然環境が共生する空間です。ここに放流し、繁殖を図ることで、ニッポンバラタナゴが西日本全域で広く生息していたといわれる昭和初期ごろまで、各地で見られた空間を復活させることを目指します。

ニッポンバラタナゴ

 ニッポンバラタナゴは近年、九州中北部と香川県、大阪府で生息が確認されていましたが、2005年に同研究室が新たに奈良公園内の池で生息しているところを発見。以来、近畿大学農学部キャンパス内の専用池で系統保存を続け、当初の20匹から約200匹まで繁殖させました。

 今回、このうち10ペア(オスとメスのつがい)を、専用池から里山にあるため池へ移します。 農学部キャンパス内には、数十年にわたり放置された里山があり、これを学生や教職員が整備することで、人間の暮らしと自然環境が共生していたかつての里山環境を復活させるプロジェクトが進められています。
 里山のため池に移すことで、保存のため隔離された環境から、田んぼや他の生物であふれる本来の自然環境へと戻し、より自然に近いかたちでの繁殖を図ります。繁殖が順調に進めば、ここで育ったニッポンバラタナゴを、「里親」として学外に提供していくことも検討しています。

【ニッポンバラタナゴについて】

写真上=今回、ニッポンバラタナゴを放流する里山のため池(ビオトープ) 写真下=放流に備え、ため池の底に堆積した有機物を掻き出す学生たち

・大阪府、香川県と九州中北部のみに分布する日本固有亜種。
・全長は最大で約5 cm近くになり、約1年で成熟する。寿命は約2年。
・かつては、琵琶湖淀川以西の本州ならびに四国の瀬戸内平野と熊本平野、筑紫平野を中心とした九州中北部に分布していた。
・しかし、近縁種タイリクバラタナゴの侵入や河川開発、水質悪化といった環境悪化により、地域によってほぼ全滅ないし分布は確実に縮小しつつある。
・具体的な個体数は不明。
(環境省ホームページから抜粋・要約)

 タナゴは淡水性の二枚貝に産卵します。その二枚貝の幼生は、ハゼの仲間であるヨシノボリのヒレに付着して成長します。
 このため、ニッポンバラタナゴとともに、これらの水生生物も放流します。
 里山のため池は数十年にわたり放置されていたため、底に有機物がヘドロ状に堆積し、水生生物の生息が困難な状況に陥っていましたが、同研究室の学生が中心となって手作業で有機物を掻き出し、放流できる状態まで改善させました。

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