完全養殖クロマグロの幼魚(ヨコワ)4万尾超を生産 近畿大学水産研究所、飼育技術向上などで大幅増‐2009年度、養殖業者への販売も3万尾超える見込み‐
近畿大学水産研究所(本部:和歌山県白浜町、所長:村田修)は10月23日までに、2009年度の実績として、完全養殖クロマグロの幼魚(ヨコワ)4万尾以上を生産しました。ヨコワは養殖用種苗として養殖業者に販売できるサイズの幼魚で、過去最大だった2008年度(約10,000尾)の4倍となりました。
このうち2万1,300尾は国内の養殖業者へ出荷済みで、今後の販売予定を合わせると、今年度の販売総数は過去最大の約3万2,400尾となる見込みです。
クロマグロ天然資源の減少に伴う漁獲制限論議が世界レベルで活発化する中、同研究所では、天然資源を損なわない完全養殖クロマグロ種苗の産業的量産化を目指しています。今年度、種苗生産実績が4万尾を超え、販売数も3万尾を超える見込みとなったことを、同研究所では、産業的量産化確立への大きな一歩とみなしています。
今年度のクロマグロ種苗生産では、人工ふ化から1カ月程度で陸上施設から海上のいけすへ移す「沖出し」段階まで育った稚魚が、例年の2万〜3万尾前後から大幅に増え、19万143尾を記録しました。その後、体重200グラム〜1キログラムのヨコワまで育ったのは4万517尾となりました。出荷は9月中旬から始まり、すでに国内4カ所の養殖業者にそれぞれ2,300〜8,000尾を出荷しました。
今年度、種苗生産の各段階での生残数が飛躍的に増加した要因には、(1) 生産拠点を1カ所から3カ所に増やしたこと (2) 飼育技術の向上による稚魚の生残率の改善 (3) 優れた配合飼料の開発・実用化による稚魚の栄養状態・生残率の改善――の3点があります。
生産拠点については、今年度、従来の大島事業場(和歌山県串本町)のほか、新たに浦神事業場(同県那智勝浦町)と奄美事業場(鹿児島県瀬戸内町)でも生産しました。また、配合飼料の品質と飼育技術が向上したことにより、稚魚の生残率が大幅に改善されました。人工ふ化から沖出しサイズまでの生残率は、従来の2〜3%から6%程度に向上しています。
2002年に世界で初めてクロマグロ完全養殖に成功した同研究所では現在、完全養殖クロマグロの稚魚を育て、外部の養殖業者に販売する(種苗生産・販売)ことによって、安全・安心で美味なクロマグロを天然資源を損なわずに流通させる仕組みを、産業レベルで確立することを目指しています。来年度以降も安定した生産・販売をめざし、産業化的量産化の確立を急ぐ方針です。
参考資料
■ 2009年度クロマグロ種苗生産・販売の状況
| 沖出しサイズまでの生残数(尾) | ヨコワまでの生残数(尾) | ヨコワの販売数(尾) | |
|---|---|---|---|
| 2009年度 | 190,143 | 40,517 | 32,400 |
| 2008年度 | 49,001 | 約10,000 | 5,887 |
(註) 2009年度のヨコワ販売数は見込み
2008年度の販売は人工ふ化クロマグロ
2008年度の数値は各項目とも同年度時点の過去最大値
■ 近畿大学水産研究所ホームページ
URL : http://www.flku.jp/
