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近畿大学生物理工学部4年生がクローンマウス作製に成功 「国内最年少」を更新 今回は「三つ子」誕生も

   近畿大学生物理工学部(和歌山県紀の川市)の4年生(遺伝子工学科)が、今年6月、クローンマウスの作製に成功しました。クローンマウス作製には、きわめて高度な技術が求められます。同学部では昨年6月にも、学部4年生が作製に成功し、「国内最年少の快挙」※1として話題になったうえ、平成20年度文部科学大臣表彰科学技術賞を授与されています  。今回、2年連続で同学部生が作製に成功したことは、遺伝子工学における近畿大学生物理工学部の教育環境の優位性を示す事実として、研究者の間で受け止められています。

※1  公式な統計・調査に基づくものではありません。近畿大学として関係各方面にヒアリングした結果、「国内最年少である可能性がきわめて高い」と判断したものです。


(1) 三つ子クローンマウスの誕生 

 今回、クローンマウス作製に成功したのは、近畿大学生物理工学部遺伝子工学科4年生で、近畿大学先端技術総合研究所(和歌山県海南市、入谷明所長)の生物工学技術研究センター・三谷匡准教授の研究室に所属する西山有依(にしやま・ゆい)さん。昨年8月から同センター・安齋政幸講師のもとでクローン技術を学び、今年6月末、1度の出産で3匹が産まれる「三つ子」のクローンマウスを誕生させました。
 「ポプラ」「リリー」「ローズ」と名付けられたクローンマウス(いずれもメス)は9月29〜30日、それぞれ7〜10匹の子供を出産し、正常な生殖能力を保持していることも証明されました。

(2) 経験豊富な研究者でも成功率「2%」の難関
 
 クローンマウス作製では、1)メスから卵子を取り出す 2)卵子から核を除去する 3)卵子にドナーの細胞を入れる――ことでつくった「クローン卵」を、メスの子宮内に着床させます。この着床の定着率の低さが、大きな課題のひとつとなっています。また、クローン研究では、クローン卵の取り扱いなど基礎的な実験技術を身につけるだけで1年近くかかるうえ、発展途上の技術であるため、経験豊富な研究者でも成功率は2%程度にとどまるとされています。

(3) 「最年少」を更新

 近畿大学生物理工学部では、昨年6月にも、同じ研究室に所属していた同学部4年生(当時)の森田真裕さん(現在は近畿大学大学院生物工学専攻1年)が、クローンマウス作製(1匹)に成功。22歳での成功は当時、「国内最年少」として話題をさらったうえ、森田さんは、この成果により、今年3月、平成20年度文部科学大臣表彰科学技術賞(理解増進部門)を授与されました。
 今回の西山さんは、21歳での成功であり、「最年少」を塗り替えたうえ、ベテラン研究者の技術をもってしても至難だとされる「三つ子」の誕生という点でも、画期的な成果として、研究者らの注目を集めています。
 体細胞クローンマウスの作製を世界で初め  て成功させたことで知られる若山照彦博士(理化学研究所 神戸研究所 発生・再生科学総合研究センター ゲノムリプログラミング研究チーム室長)は「クローン研究の最先端を行くラボでも "一腹(ひとはら)3匹"なんてめったにない。近畿大学の最先端技術を取り入れた教育方針の影響が大きかったのだとは思うが、優秀な学生の素質を伸ばす環境もよかったのだろう」と話しています。


(4) 学部生2年連続「快挙」の背景

 近畿大学生物理工学部遺伝子工学科において、学部生によるクローンマウス作製成功が相次いでいる背景について、森田さんと西山さんの指導教員である三谷匡准教授は「体細胞クローンマウスの作成では、動物管理から処置、顕微鏡操作など生殖工学に必要な技術全般についてきわめて高いパフォーマンスが求められます。これまでも先輩の大学院生たちが成功してきましたが、安齋講師が中心となって先輩たちとともにこうした環境を作り上げてきた積み重ねの結果だと思います」と語っています。
 近畿大学生物理工学部は、隣接する市に立地する近畿大学先端技術総合研究所と緊密な連携を取りながら教育・研究を進めています。このため、生物理工学部遺伝子工学科の学部生には、生物工学で国内最先端の研究水準を誇る先端技術総合研究所の充実した設備を駆使し、優秀な研究スタッフの指導を受けながら研究活動に没頭できるという利点があります。
 このような、通常の学部教育では得がたい恵まれた教育・研究環境が、2年連続で学部生がクローンマウス作製に成功するという快挙につながったと見られています。
 これまで生物理工学部では、同学科を中心に、文部科学省21世紀COEプログラム「食資源動物分子工学研究拠点」(平成14〜18年度)、文部科学省大学院教育改革支援プログラム「社会の要求にこたえる動物生命工学の実践教育」(平成19〜21年)に採択されるなど、最先端の生命科学研究の教育環境を構築。さらに、ホウレンソウの遺伝子をブタに組み込んだ「ホウレンソウ豚」を作製、植物遺伝子で動物脂肪を改良し、ヘルシーな食材を提供しうる可能性を世界で初めて実証したほか、クローン技術を用いたマンモス復活計画なども進めています。
 こうした成果は、生物理工学部と先端技術総合研究所との連携による高度な研究環境と教育プログラムに負うところが大きいのは言うまでもありません。

(5) 学界権威からの反響と評価
 
 今回の成果について、国内のクローン研究の権威と呼ばれる研究者から、賞賛の声が寄せられています。そのいくつかをご紹介します。

・理化学研究所 神戸研究所 発生・再生科学総合研究センター ゲノムリプログラミング研究チーム室長 若山照彦 博士
『クローン研究の最先端を行くラボでも一腹3匹なんてめったにない。それを学生が成し遂げるとは...。おそらく近畿大学の最先端技術を取り入れた教育方針の影響が大きかったのだとは思うが、優秀な学生の素質を伸ばす環境もよかったのだろう。将来がたのしみな学生だ』(一部再掲)

・東京農業大学バイオサイエンス学科教授 河野友宏 博士
『体細胞クローン動物の作出には、大変熟練した胚操作技術の習得が不可欠です。4年生の段階で、体細胞クローンマウスの作出に成功された学生さんの努力と情熱に拍手を送ります。若い力、特に女性が頭角を表してくれることは、頼もしく感じます。さらに研鑽され知識を広め、生物の魅力的な力を解き明かすような研究の展開に結びつくことを期待しています』

・理化学研究所 筑波研究所 バイオリソースセンター 遺伝工学基盤技術室長    小倉淳郎 博士
『体細胞クローンマウスは知識、技術、忍耐力の3拍子がそろわなければ生まれません。この3つがそろうには長い経験が必要のため、研究所のように常勤の研究員がいる機関でないと生まれないと言われていました。近畿大学生物理工学部で、昨年に引き続き学部4年生の学生さんが三つ子のクローンマウスを作り出したことは、その教育・研究環境がきわめて高いレベルにあることを証明しています。今後も、世界の先端生命科学を支える人材を輩出していただくことを期待しています』

 <参考資料>

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<プレスリリース(2007年12月26日)>

・近畿大学生物理工学部の学部4年生がクローンマウスを作製 国内最年少―― クローン研究界の権威も絶賛  http://www.kindai.ac.jp/news_event/2007/12/4.html

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