次世代バイオ・リサイクル燃料「バイオコークス」 近畿大学、実用化へ向け、大型実用炉で初の実証試験を実施石炭コークス11.4%代替に成功
近畿大学(本部:大阪府東大阪市、学長:畑博行)は、近畿大学が開発した次世代バイオ・リサイクル燃料「バイオコークス」が石炭コークスの代替となることを実証するため、このほど、株式会社豊田自動織機(本社:愛知県刈谷市、取締役社長:豊田鐵郎 以下:豊田自動織機)が自社工場で運用する実用大型鋳造炉(大型キュポラ炉 以下:キュポラ炉)での実証試験を行いました。その結果、通常の製品製造過程において、バイオコークスが、石炭コークスの少なくとも11.4%を代替できることを確認しました。
バイオコークスは、ほぼすべての光合成由来の植物性廃棄物から製造可能で、製鉄・鋳造炉で使われる石炭コークスの代替となる、新しい固形燃料。近畿大学理工学部機械工学科の井田民男准教授が開発しました。原料の100%を活用できる高リサイクル性に加え、石炭コークスよりCO2 排出量を削減(植物由来のため排出量はゼロカウント)でき、化石燃料依存や輸入価格変動リスクを解決する国産エネルギーとして期待されています。
近畿大学は、すでに、株式会社ナニワ炉機研究所(本社:大阪府八尾市、代表取締役:村田悦夫 以下:ナニワ炉機研究所)の協力のもと、小型キュポラ炉での実証実験で、石炭コークス20%代替に成功していました。今回、バイオコークス実用化を想定し、新たに、最新の鋳造技術・ノウハウを持つ豊田自動織機の協力も得て、キュポラ炉での実証試験に初めて踏み切りました。
今回の実証試験は、コカ・コーラシステム※1 から提供された茶かすから製造したバイオコークスを用い、ナニワ炉機研究所の協力を得て、2008 年4 月末から7 月初旬にかけて、豊田自動織機の東知多工場(愛知県半田市)で実施しました。実証試験は、自動車用エンジンの鋳造部品を製造するためのキュポラ炉に、通常の燃料である石炭コークスの一部をバイオコークスに替えて行い、長時間の連続操業試験下での製造工程への影響を評価しました。その結果、以下の4 点を確認しました。
- 石炭コークスを実質11.4%削減できた。
- バイオコークスを混合することによる製品製造工程への影響はなかった。
- バイオコークスの熱分解ガスによる燃焼の効果で、石炭コークスのみの場合より、炉内温度が上昇し、鉄源の溶解速度が速まった。
- バイオコークスは溶解エネルギーとして寄与し、加炭作用(溶湯中の成分として炭素源となること)は見られなかった。
この実証試験結果について、バイオコークスの開発者である近畿大学理工学部機械工学科の井田民男准教授は「食糧と競合しない未利用バイオマス資源を用いて鉄を熔かせることを実証できたことは、極めて重要なことであり、エネルギーと環境の同時解決の道を切り開く結果といえる」と話しています。
近畿大学は、バイオコークスの実用化へ向け、さらに石炭コークス代替率を向上すべく、今後も実証試験を行っていく方針です。並行して、近畿大学は、バイオコークス量産機の研究開発を進めていきます。
本プロジェクトは、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のマッチングファンドによる支援を受け、2009 年度の実用化へ向けて取り組んでいます。バイオコークス製造装置については、茶かすなどを原料とする、10 トン/日の量産設備を想定しています。
※1 コカ・コーラシステムについて:
日本コカ・コーラ株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:ダニエル・H・セイヤー)、全国12 カ所で展開するボトラー社、および関連会社などの総称。今回の実証試験に使用された茶かすは、コカ・コーラウエストプロダクツより提供されている。

バイオコークスとは(右の図を参照)
- バイオコークスは、飲料工場から大量に排出・廃棄されている「茶かす」をはじめ、ほぼ全ての植物由来廃棄物から製造可能で、製鉄・鋳造炉で燃料として使われる石炭コークスの代替となる、新しい固形燃料です。
- 石炭コークスの課題である、化石燃料依存(天然資源枯渇)や輸入価格変動のリスクを解決する、まったく新しい国産エネルギーとして期待を集めています。
- また、?原料の100%を活用できる(製造時に新たな廃棄物が出ない) ?石炭コークスよりCO2 排出量を削減できる(植物由来のため排出量はゼロカウント) ?食糧や飼料を原料として消費せずに済む(ほぼすべての植物由来廃棄物が原料になる)――という利点があります。
- 石炭コークスの代替だけでなく、家庭用燃料を含む、さまざまな用途に活用できる可能性が高いとみられています。
- 現在、近畿大学では、バイオコークスを開発した理工学部・井田民男准教授の研究開発チームが、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業採択を受け、三菱重工環境エンジニアリング株式会社の協力を得ながら、バイオコークス量産機の開発を進めています。
- 近畿大学は2008 年4 月、北海道恵庭市に「近畿大学バイオコークス量産実証実験センター」を開設。三菱重工環境エンジニアリング株式会社が納入した実証試験機(製造装置)を稼働させ、基礎研究と実用炉での実証試験に使うバイオコークスを製造しています。
近畿大学ホームページバイオコークス紹介ページ
http://www.kindai.ac.jp/bio-coke/index.html

