近畿大学が「施設栽培における静電気を利用した病害虫侵入防止技術」を開発ハウスの通気性を保ちながら低コストで病害虫駆除を可能に
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近畿大学農学部(奈良市中町)・植物感染制御工学研究室(豊田秀吉教授)は、「施設栽培における静電気を利用した病害虫侵入防止技術」を開発し、特許出願しました。これは、施設栽培における病害虫の侵入防止のため、従来の防虫ネットにかわり、高電圧(静電気)を与えた絶縁体を用いるもので、施設内の通気性を保ちながら低コストでの病害虫駆除を可能にし、減農薬栽培による高付加価値農業にもつながる技術です。現在、カゴメ株式会社(本社:名古屋市)などと共同で、実用化に向けた研究を進めています。 施設栽培では、病害虫の侵入防止を目的に防虫ネットで開口部を遮蔽した栽培が多く行われています。施設栽培の開口部遮蔽は、タバココナジラミやスリップスなど難防除害虫の侵入防止に高い効果を示します。しかし、きわめて細かい「目」のネットを使用せざるをえないため、通気性が著しく低下し、夏期高温時には施設内の温度上昇と多湿を招いて農作業の障害となるほか、病害の多発と高温障害による生育不良や品質低下をもたらします。このため、病害虫管理に重要な周年遮蔽栽培が難しい状況にあります。 本技術は、絶縁体に高電圧(静電気)を与えることにより、その絶縁体を分極状態とし(この状態を誘電分極体といいます)、数cmの距離を隔てて設置した電極棒で微小害虫や病原菌の分生子を補足することを可能にしたものです。 誘電分極した棒を数cmの間隔で配置したスクリーンは、うどんこ病などの病原性糸状菌類の分生胞子を効率よく補足しました。さらにプラスとマイナスの電極棒を一組とし、それらを平行に設置したところ、コナジラミなど微小昆虫を捕捉・捕殺することも可能となりました。温室内に静電スクリーンを設定してトマトを栽培したところ、タバココナジラミなどの害虫やうどんこ病などの病害の発生を防止することができました。 静電遮蔽スクリーンは開口部分が大きく、解放した窓に近い状態で通気性が保てるため、ハウスや温室の換気計数が高く、温度上昇を防ぎながら病害虫の侵入を阻止できます。誘電分極体は放電せず、電流を伴わないため、電力をほとんど必要としません。 また、遮蔽スクリーンは絶縁体であるため、人体が接触しても危険はなく、病害虫防除とハウスにおける高温対策が低コストで同時に可能となります。さらに、減農薬栽培が可能となるため、付加価値の高い農産物を確保でき、高収益型園芸生産システムの開発にも貢献するものです。 誘電分極体を利用して植物病原菌、特にうどんこ病菌の分生胞子が効果的に捕捉できることは、すでにMycological Research(イギリス)、Plant Pathology(イギリス)に報告しており、小型施設栽培への適用についてはPhytopathology(アメリカ)に掲載されています。また、誘電分極体に帯電させる静電誘導装置の開発と、遮蔽スクリーンでうどんこ病菌分生胞子や小型飛翔害虫が効果的に補足されることを実証し、誘電分極体による病害虫の捕殺方法として一連の特許を出願しました(特願2006‐036509)。 タバココナジラミ、うどんこ病菌などの侵入防止効果については、トマトを用いて温室内の小規模試験で遮蔽内への侵入が防止されることを確認しており、今後、比較的強い風のある条件下での侵入防止効果が得られれば、施設栽培への実用化が可能となります。 近畿大学では現在、「カゴメ株式会社」(本社:名古屋市)と「独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構野菜茶業研究所」(三重県津市)、「大阪府立食とみどりの総合技術センター」(大阪府羽曳野市)および「奈良県農業総合センター」(奈良県橿原市)と共同研究を進めており、今後は実用化に向けての技術確立、施設でのコスト試算等に関する研究を進めて参ります。 |
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