2011(平成23)年度 海外留学帰国報告書

サセックス大学(イギリス) 経営学部 経営学科 帰国報告書

1-1).授業内容

最初の半年は英語のコースとPre-Sessionalコースを取りました。Pre-Sessionalコースというのは大学のレベルまでの英語を勉強していました。そのコースの最終目標は1000文字のエッセイを書くことで、最初の頃は簡単だと思っていたのですが、思ったよりも大変でした。このコースはUndergraduate用とMastersの人用に分かれていて、もちろん私は、前者を取りました。30グループくらいあったですが、Undergraduate用はたったの2グループでした。そのコースの半分が中国人で、半分が日本人でした。ただ、どの中国人の学生もすでに他の日本人の学生よりも高い英語力を備えてました。朝9時から4時まであったので、今考えると一番忙しかったように感じます。1000文字のエッセイを完成するまでの過程に、そのアウトラインを提出したり、レファレンスの書き方を習ったりとても手間が掛かりましたが、すごく役に立ったように感じます。このレファレンスの書き方はハーバードスタイルでほとんどの国で採用されているらしく、日本の国際基準の導入の遅さを感じました。何とかエッセイを書き上げ、採点もされ受かることができました。予想に反しエッセイの評価は高く自信が持てました。このコースに落ちても、学部コースと平行に英語コースを履修することで、仮合格が認められるそうです。このコースが終わり2週間の休みがあります。半年の疲れを取るには不十分で、またこれからの本番を迎えるには尚更不十分な期間でした。
留学生は、1年から3年まで好きなコースを履修することができます。ただ単に英語を勉強しに来た学生などは1年のコースで済ませていましたが、大学院で勉強をすると決めた自分は、1年から3年まで万遍なくとりました。結果的に1年だから簡単というのではなく、1年したことが2年、3年で生きてくるという感じでした。形式は週に1回から3回のレクチャーがあり、そのレクチャーに関するセミナーがあります。レクチャーは何も準備をしなくても出席してノートを取るだけでいいのですが、セミナーは念入りに準備をしないとついていけませんし、質問されても何の事だかわかりません。とはいっても、レクチャーに対しても準備は必須で、そのためのリーディングの量が鬼のようです。初めの週は10から20ページ程度で済むのですが、最後のほうになると、100ページを超えます。当然読めないので目を通すくらいになるのですが、このときに要点だけをピックアップする早読みができるようになったと思います。
半年の間に、正確に言うとAutumn、Springタームの2タームの間に、7科目履修しました。自分が近畿大学で勉強している内容を網羅していなければ単位認定にならないということで慎重に選びましたが、あまりありませんでした。先ほども言ったように、Pre-Sessionalの1000文字エッセイがかわいく見えるくらい、量が多かったです。1年配当のコース、自分が取ったものであればIntroduction to Business law、は1000文字エッセイと選択問題で成績を付けられるのですが、何分イギリスの法律を全く知らないものだから、レクチャーについていくのにも、またエッセイを書くのにも苦労しました。Autumnタームの他のコースは2年配当のものばかりで、2時間レクチャーのものばかりでした。講師もイギリス人からアメリカ、スペイン、中国からといろいろな人が講義され、サセックス大学のグローバルさに驚きました。どれもついていくのに必死で、また、セミナーで発表するための準備などで大変でした。このタームが終わると1か月の休みがあります。他の生徒は自分の国に帰ったりするのですが、そうすることもせず、ホストファミリーの子供と遊んでいました。Autumnタームでは4コース履修し大変な思いをしたので、Springタームでは3コースだけ履修しました。とはいっても3年配当のものを中心に取ったので、大変さには変わりありませんでした。3年のコースはセミナーでのグループプレゼンテーションが多くなりました。どの学生もいい成績をもらおうと一生懸命プレゼンテーションのための準備をし、発表では積極的に話そうとしている姿勢が見られました。全体を通して感じられることは、レクチャーをさぼっても何も成績に影響はなく、自分で勉強できたらいい成績が取れるという感じです。それと他のノンネイティブの人たち、特にアジア圏の人たちの留学生もふつうの日本人学生よりもはるかに高い英語能力を持ち、聞くところによると大学の授業がすべて英語だとか、香港の場合、サイエンス系の科目は英語で習うなど日本との教育の違いも見受けられました。また、他のアジアの学生、香港、シンガポール、マレーシアの人たちは、数学が秀でていてさらに、すごくコンペティティブで見習うべきものが多いと感じました。

1-2).生活面

最初の10週間は学校に指定されたホームステイのところに滞在していました。学校から徒歩15分ほどと近く、立地は最高でした。他にもチリからの留学生がいて、また食事も思っていたよりもおいしくいい環境でした。しかし、行ってから分かったことなのですが、ブライトンはゲイとレズビアンの町という名前が付くほどその手の人たちが多く、この時のホストマザーもそうでした。正確には2人のホストマザーズとその赤ちゃんでした。ただ、親しく接してくれ、何の拒否感も感じませんでした。次の10週間は学校の家に住みました。キャンパス内にはかなりの数のアコモデーションがあり、私が滞在したところは5人で1つの家をシェアをするというものでした。他のところを見てもそうなのですが、アジア、ヨーロッパ、アラブと人種で分けられている感じがしました。この家は週100ポンドと割と高めのところで、キャンパス内には50から125ポンドとさまざまなアコモデーションがありました。高いところは、中国人と日本人が占めていました。10週間後には出ていかなければならず、希望すれば他のキャンパスアコモデーションで留まることができたのですが、前のところの居心地が良くなくキャンパス外で自分で探すことにしました。とはいっても探すのは至難の業で、結局地元で知り合ったマレーシアの家族のところに滞在することにしました。ここは週125ポンドでごはん、洗濯もついているためかなりリーズナブルでした。そして、その家の3兄弟とも仲良くなり、よく遊ぶようになりました。そこの家に最後までお世話になり、またそのホストマザーは人脈が広く、自分が将来イギリスで修士を終えたいというと大学の講師やその自分がやりたい専門を勉強している人に合わせてくれ、とても感謝しています。いくらイギリスといっても治安は絶対安全というほどではありません。キャンパス内でハウスシェアをしているときに、下の階の他の日本人学生が、自分の部屋のカギを掛けていなかったためか、パスポートとクレジットカード以外すべて盗まれるという事件が起きました。昼間の出来事で、犯人はキッチンで他の日本人学生と目を合わしていたにもかかわらずそのようなことが起きたので、常にカギを掛け貴重品は身に着ける習慣をつけました。

1-3).経費

イギリスは何かと物価が高いというイメージがありますが、日本にいた時と対して変わらないというのが、第一印象です。レストランや外食は日本より高めですが、野菜や加工食品、乳製品などスーパーで買えるものは値段も安く、また量が多いです。牛乳は4リットルで売られてるのが普通で、それでも日本の1リットルの牛乳と大差ない価格です。電車はオンライで買うと安く、また事前に買うほど安くなります。ただ、タイムテーブルは当てになりません。主な交通手段は、バスです。2.50ポンドの一日チケットで、町まで買い物に出かけていました。日本ではあまりなじみがないのですが、向こうはジムの設備が良くかなり安いです。こういった場所によく通うと仲のいい友達ができます。一番掛かった経費といえば、ターム間の休みや留学が終わったあとの長い休日を利用した旅行です。飛行機代やホステル代は探せば安く抑えられるのですが、ヨーロッパは税金が高いもので、その国々での食事にお金がかかりました。たぶんイギリスの食事よりもずっとおいしかったので、その分余計に食費が掛かったと思います。

2).留学の成果

最大の成果は何と言ってもリスニングです。ほとんど日常会話、ニュース、自分の専門のことなら聞き取れるようになりました。そして何より、よく遊び、よく学ぶようになりました。自分が図書館に閉じこもってエッセイなどをしているとき、よく見かけるのが中国人かアラブ系の人でした。おそらく英語のディスアドバンティッジがあるので引きこもざるを得なかった思います。しかし、現地の学生は自分たちのやるべきことが終わるとサッカーをしたり、パブに出かけたりして、オンオフの切り替えができていると感じました。日本だと勉強をするときは何時間も図書館にこもって勉強をするイメージがありますが、向こうでは晴れの日は外の芝生で読書をしたりエッセイを書いたりと、リラックスしながら勉強する姿が見られました。暗記中心から、たくさんの本を読み理解を深めるいう学習方法の違いもありますが、いかにオンオフ、またリラックスするのが大事なのかを学びました。
また、プレゼンテーションの機会が多々あったので、如何に短期間で自分が発表する記事や事例を要約し、それをできるだけ暗記し本番に備えるということです。グループプレゼンテーションの時は自分に割り振られたパートをまとめ、他のメンバーの内容と結びつけるというコミュニケーション能力も上がったと思います。おそらく単語の暗記力も伸びたと思います。一回のレクチャーやセミナーのために最後のほうでは100ページほどの読まなければならなかったので、知らない単語は1、2回で暗記できる、というより暗記せざるを得ませんでした。

3).反省点

反省点というより後悔と言うほうが正しいのか、もうすこし英語のレベル、特にリーディングを上げておけばよかったと思いました。サセックス大学は留学生が多くて有名なところだったので、英語圏以外のところからたくさん来ていると思っていましたが、アフリカの人たち、中東の人たち、ましてや他のアジアの生徒は授業を英語で習うためほぼネイティブです。すごくディスアドバンティッジを感じました。日本人だから英語があまりできないという言い訳は通用せず、普通にディスカッションに入っていったりしないと他の生徒に迷惑をかけます。
最後のほうには、レクチャーなどを録音しておくべきだと感じました。レクチャーによっては講義がインターネットでダウンロードできるのですが、すべての講義を聴くことはできません。現地の学生でさえ、録音してそれを元にエッセイを書いたり、復習したりしていたので見習うべきだと感じました。ただ、実際にしてもそれを聞き直す時間はなかったと思います。

4).海外留学を目指している学生へのアドバイス

海外の大学で勉強するために特別高い英語力がいるというわけではありません。というのも、ほとんどの日本人学生は休学していたため、TOEFL65どころか日常会話もまともにできない人が多々見られました。しかし、本気で講義に着いていこうと思ったら、伸ばせるだけ伸ばしたほうがいいです。TOEFLで高得点を取ろうと思ったらそれなりにテキストを使うなどをして、対策すことが必要です。TOEFLのセクションでいうとリスニングが一番重要だと思います。それは、聞けなければ話せないし、講義のノートが取れません。リーディングなどは、向こうで勉強すれば嫌でも語彙力が伸びます。そして、何よりも間違えても気にしないという気持ちを持つことです。ただ発音はできるだけ直すように努力したほうがいいです。どの国の人もその国特有のアクセントをもっていますが、あまりきつい過ぎると聞く気をなくさせると思います。最後に留学する国ですが、英語圏に限って言えば、別にイギリスやアメリカ、カナダ、オーストラリアなどのメジャーな国に行く必要はないと思います。お薦めではないのですが、シンガポールはほとんどの人が英語と中国語のバイリンガルで、学生は真面目ですごく競争的です。このことから、シンガポールで学ぶことのほうが、イギリスやアメリカで学ぶよりも大きな収穫が得られると思います。