2011(平成23)年度 海外留学帰国報告書

慶熙大学(韓国) 文芸学部 文学科 帰国報告書

1.留学中の活動詳細について

(1)生活面

韓国は3月から新学期が始まるので、私は2月25日に日本から韓国に向かいました。空港までは慶熙大学の方がピックアップに来てくださいます。私は世和園という学校内にある寮に住んでいたのですが、入寮の手続きは到着した日に慶熙の国際交流処の助教さんの指示のもと、みんなで行いました。作業自体は簡単なもので、もしわからないことがあっても助教さん(日本人)に聞けば教えてくださるので特に難しいことはないと思います。この世和園という寮は2人部屋で、部屋ごとにトイレ・シャワー、冷蔵庫が備えられています。冷暖房も完備されており、私の部屋の場合は、夏は寒く冬は暑く感じるほどよく効きました。寝具は寮からシーツと毛布を貸してくれるので自分で用意する必要は基本的にはありませんが、1年という長い期間を過ごす中での唯一のリラックス空間でもあるので、使い慣れた布団(肌掛け布団ぐらいで十分)を持っていくかもしくは現地で購入するなりして寝心地のいいベッドにするのもいいかと思います。インターネットは申し込む必要はなく、料金を別途で支払う必要もありません。入寮手続きの際にID・パスワードが教えられると思うので、初回のみそれらを入力すればあとは普通に部屋で使い放題で利用することができますし、寮のロビーにも共有のパソコンが6台とプリンター1台が設置されています。慶熙大学では、学内で使える無料のWiFiが飛んでいるのですが、申請さえすれば交換留学生でも利用することができ、世和園の場合は寮内にもこのWiFiが飛んでいるので、部屋の中でもWiFiを利用できます(但し、部屋によって、また日によっては受信感度が悪い場合があるのですべての部屋で円滑に使えるというわけではありません)。世和園では門限が決められており、この時間を過ぎると寮に入ることができなくなります。また、外泊届けなしで門限を破った場合は、それが発覚すると罰点が科され一定の点数になると、次学期の入寮不可、即刻退寮などの処分が下されます。この罰点は門限破りのほか、部屋への騒音のでるもの(テレビ,扇風機など)の持ち込みや調理行為(世和園は自炊禁止)、寮生以外の人を連れ込んだ場合、掃除状態の悪い場合などにも科されます。一年住んでいると、部屋にもいろいろな不都合が生じてきたりします。実際、私の部屋は窓からの雨漏り(床の半分が水浸しになるぐらい)に加え、トイレのタンクの故障、排水溝の詰まりなどの不都合が生じました。不都合が生じた場合は1階の管理人室もしくは行政室に言うか、寮のHP上で申請をすると修理しに来てはくれますが、ほとんどの場合、すぐには来てくれないので自分で治せそうな場合は自分で直した方が早いと思います。世和園では、月に1階の定期点呼と不定期で行われる不定期点呼という2種類の点呼があり、定期点呼の場合は、部屋の掃除を済ませたうえで、夜の10時までには帰って来ていなければ、罰点となります。この時、掃除状態不良であれば10時までに帰って来ていても罰点が科されます。不定期点呼はいつ行われるかわからないのですが、門限を過ぎてから来るのでこの時、外泊届けなしで外出していた場合は無断外泊で罰点が科され、また油断して部屋の掃除を怠っていた場合にも罰点が科されます。さらに世和園では、夏休み中などに、工事や調整のために断水・停電が実施されたりするので掲示板を見るなど、情報のチェックは欠かさないほうがいいと思います(特に停電の時は冷蔵庫もトイレも水道も使えないので要注意)。世和園は2人部屋なのでルームメイトがいるわけですが、基本的には同じ国同士で組まれてはいるようです。ただ、私の場合、初めのルームメイト(日本人)が半年の交換留学生で、夏休み中に帰国してしまったので、ルームメイトが途中でかわることになりました。2番目のルームメイトは夏休み中の3週間だけのルームメイトで、韓国人の大学院生(日本語不可)でした。そして2学期からの約4か月間はまたルームメイトがかわり、こちらも韓国人の学部生(日本語不可)でした。

各種手続き

韓国に着いたらなるべく早くしなければいけないのが、外国人登録と在留届の提出、銀行口座の開設、学生証の申請、携帯電話の契約だと思います。外国人登録は個人で入国審査管理所に行って、在留届は大使館に行ってorホームページ上で提出するのですが、書類の書き方など細かいことは国際交流処の方々がオリエンテーションのときに教えてくださると思うので、分からないことがあったら自分から積極的に聞きに行くことをおすすめします(韓国では受け身の体勢は禁物!)。銀行の口座はとりあえずはパスポートのみで開設できるので、外国人登録をする前に作っておくと何かと便利かと思います(外国人登録時にパスポートを預かられるので)。ただし、パスポートで口座を開設すると、携帯電話を契約する際に月々の料金を銀行引き落としにすることができないので、外国人登録証が発行されたらすぐに銀行でパスポートから切り替えることをおすすめします。

携帯電話

携帯電話は、日本と同様、2年の契約を結んで使うタイプと、プリペイド式の2タイプがあります。まず、契約タイプですが、これは契約時点で満20歳である必要があり(未成年でも知り合いに名義を借りるか、お店の人が名義を貸してくれると契約可能)、月々の料金が大体5万ウォンぐらいで、機種も最新のものを買うこともできます。ただ、日本でもそうですが、新しい、いい機種になればなるほど、機種本体の代金(外国人の場合、LGであれば月々分割可。それ以外の通信会社の場合は購入時に一括払い)が高くなり、スマートフォンであれば、使える料金プランも限られているので料金が高めです。私は、この契約タイプの携帯電話(スマートフォン)を使っていたのですが、結局月々の料金のもとをとるほど携帯を使わなかったので、プリペイド式で十分だったなと思います。プリペイド式であれば、機種を中古などで安く手に入れれば(4万ウォンぐらいだと安いと思います)、あとは毎月必要な分だけチャージすればいいので、無駄にお金を使う必要がなくていいと思います。初めは最新のいい機種を持ちたくなるだろうと思いますが、自分にそれが絶対に必要なのかどうかよく考えたうえで買うことをおすすめします(携帯代は生活に慣れてくると地味に痛い出費だと思うようになると思います)。

生活費

生活費は日本から振り込んでもらうことになると思いますが、送金だと、郵便局・銀行によっては手数料もバラバラですし、ものすごく高いのでいろいろ自分で調べるのがいいと思います。私の場合は、国際キャッシュカードを作っていったのですが、この国際キャッシュカードも新規で作る場合は、基本的にはシティバンク、新生銀行でしか作れなくなっているうえ(地方銀行のなかにもいくつか作れるところ有)、新生銀行の場合は、店舗がほとんどないので、店頭に行って作る場合には書類の不備などがないようにあらかじめHPなどでよく調べていくことをおすすめします。時間的に余裕がある場合は、インターネットで申請して作ることも可能ですが、確か未成年は店頭以外では作れなかったと思うのでこの辺もよく調べてみてください。日本円をウォンに両替するときはレートのいい時にまとめてすることになると思うのですが、そうすると大金を持ち歩く(もしくは部屋に置いておく)ことになり、それでは防犯上よくないので、そういう点でも韓国の銀行口座を早い目に作っておくことをおすすめします。私の場合、一カ月の生活費は少ない時(夏休みなど)は40万ウォン、多い時で70万ウォンほどだったと思います。これとは別に寮費を支払うのですが、世和園の場合は入寮時(オリエンテーションの時に期日を言われると思います)、夏休み、2学期の3回に分けて支払います。3~6月分は94万ウォン、7、8月分は44万ウォン、9~12月分は89万ウォンでした。

その他

韓国にいるうちに小旅行してみるのもいいと思います。わたしはあまり外出しなかったのですがそれでも唯一、語学堂で知り合った台湾人の友達に誘われて登山に行ったり、最初のルームメイトとはバスに乗って全州と慶州に日帰り旅行に行ったりはしました。登山も電車で行ける距離でしたし、全州や慶州も外国人専用の無料バスに乗っていったので、特に費用はかかりませんでした。
日本から荷物を送ってもらうこともあるかと思いますが、その際EMSで送ると料金が非常に高いので、国際小包で送ってもらうといいと思います。EMSよりは安く送れますし、日数も4、5日程度とEMSとそれほど変わりません。逆に韓国から日本に荷物を送る場合はEMSの料金が日本に比べると断然安いのであまり気にせずに送れると思います。また、世和園の場合、一階の管理人室でEMSの受付をしてくださるので、郵便局まで荷物を運ぶ必要がなく、帰国の際などはとても助かります。

(2)授業内

語学堂

私は、1学期は語学堂という大学付属の機関で韓国語を勉強し、2学期から学部の授業を取ることにしました。語学堂ではまず初めにクラス分けのレベルテストをします。内容は択一式の筆記問題と面接で、筆記問題の形式はTOPIKと同じような形式です。私は高級クラスに入ることになり、そこでは会話・作文を中心に勉強しました。高級クラスでは‘話す’ことが多く、授業の流れで発言することも多いし、その場でチームに分かれて20分ほどで意見をまとめて発表することもよくありました。また、一人一回、PPTを使った本格的な発表もしました。クラス全体を2つのグループに分けて、短編映画を作ったりもしました。これは脚本、演技、撮影も全て自分たちで行うのですが、結構楽しく作業することができました。授業は週5日毎朝9時から13時までで、1コマ50分です。

学部

2学期からは観光学部の授業を3つ取ることにしました。授業は日韓翻訳の授業と日本語の授業だったのですが、翻訳の授業はチームに分かれて日本語のエッセイを韓国語に翻訳するというもので、原文のニュアンスを活かした翻訳をするために、チームのみんなで意見を交換したり、授業ではほかのチームが翻訳したものを聞いてみんなで話し合ったりしました。学期末にはチーム別で翻訳についての発表も行いました。韓国では、授業でPPTを使った発表をよくするので、周りの韓国人たちは発表がとてもうまく驚きました。この授業では韓国人の友達もたくさんできたし、韓国語の表現についてもより韓国語らしい表現を学ぶことができました。授業は1コマ75分で、週に2コマずつ行われました。
これは語学堂も学部も共通なのですが、韓国の大学は中間試験と期末試験があり、大体、テストの1週間前にもなると、学校周辺のカフェなどでは、学生が勉強している姿をよく見ることができます。私も、学部のテストの時期には、韓国人の友達たちと集まって、遅くまでカフェで勉強する日が続きました。

2.留学の成果

語学の面で、留学以前と比べて一番変わったなと思う部分は‘話す’能力です。留学以前は韓国語を知識としては知っていてもそれを実際に使う場がなかったので、話すことに自信がなかったのですが、授業では‘話す’ことに重点を置いていたので、毎授業、必ず全員発言しなくてはいけませんし、私の場合、クラスメイトがほとんど中国・台湾人ばかりで、授業後や休日に遊ぶ友達も台湾人の子たちだったので、その子たちとコミュニケーションをとるためにも韓国語で話すということが欠かせませんでした。そうしているうちに、自然と話すということにも慣れ、留学以前には感じていた話すことに対する恥ずかしさのようなものも次第に薄れていきました。
語学以外の面では、自分から積極的に行動することと情報交換の大切さを学びました。韓国で生活していると、細かな連絡が来ないということがよくあります。それは、韓国人の友達との間でもありますが、一番困るのは学校関連の連絡が来ないということです。例えば日時について、日本の場合だと、前もって大体の時期を公示した後、時期が近付くと詳しい日時を余裕をもって教えてくれるので、自分は何もせず受け身の状態で待っているだけでいいのですが、韓国の場合だと、時期が近付いてきてもうあまり余裕がないぐらいになっても、正確な日時が知らされなかったり、また、一度決まった日時が変更になった場合でも、その連絡が来なかったりするということがよくありました。私も初めは日本と同じ感覚でいたので、連絡が来ないなと思いつつも、‘まぁ、そのうちくるだろう’と考え、受け身の状態でいました。ところが連絡は来ず、危うく期日を過ぎそうになるということがありました。それからは、日時に限らず不明な点があるときは、自分から連絡して確認することを習慣づけるようにしました。このことは、いかに自分が‘与えられ慣れ’していたかを気付かせてくれるいいきっかけになったと思います。日本では、私たち学生は受け身でいればいいだけなので楽だとは思いますが、社会に出れば受け身では通用しないと思います。‘与えられる’ことが当たり前になっている日本でずっといたとしたら、少なくとも学生でいる間はこのことに気付けなかったと思います。そういう意味でも、このことに気付けたのも留学したおかげと言えるのではないかなと思います。また、韓国人とルームシェアするというのも留学ならではの経験だったと思います。同じ国の人と暮らすのでも多少の不便はあるのに、それが外国人となると習慣や考え方が違うので、大変の一言では済まないくらい大変でしたが、韓国人の実際の生活の様子や、外で会うのとはまた違うリアルな一面を見ることができたので、これもまたいい勉強になったなと思います。

3.反省点

一番の反省点は、面倒臭がってあまり外に出て行かなかったことです。節約の意味あったのですが、今考えると、それにしてもインドア過ぎるだろうと思うくらい外に出て行かなかったので、もう少し外に出ていろいろ経験しておけばよかったなと思います。

4.アドバイス

留学に行ったからと言って誰でも飛躍的に語学力がアップするわけではないので、何らかの形で、絶えず学び続けることが必要だと思います。ドラマを見るもよし、音楽を聴くもよし…但し、ただただ聞き流すのではなく気になった表現なんかを書き留めておいて、それを意識的に使うようにすると、徐々に語彙力も増えていくと思います。あまり力み過ぎず、肩の力を抜いて勉強することも大事だと思います。焦って詰め込んだからと言って、それが身になるとは限りません。