

大学3回生の時に海水魚の閉鎖型循環ろ過飼育システムに興味を持った。特に、現在養殖現場で慢性化しつつある感染症、水産医薬品に対する規制の強化、養殖排水による赤潮発生、環境汚染等の諸問題に対し、当研究室で検討されている新たな養殖システムの開発に大変強い興味を持ったため、進学を決定した。
養殖魚の閉鎖型循環システムでは、飼育排水がほとんど発生せずに環境汚染を防ぐことができる。また、温度などをコントロールして魚に最適な環境を提供できる。その上、人工海水を用いた閉鎖型循環システムは、飼育海水の元素組成を自由に調整することができるため、任意の元素組成の人工海水を作成して感染症被害を防ぐのに役立つなど、様々な利点が挙げられる。
現在は、閉鎖型循環飼育に用いる飼育海水の海水組成、特に仔魚飼育に必須な元素を特定しようとしている。具体的には、元素組成を調整した飼育水下でふ化仔魚から稚魚期までの飼育を行い、魚の生残率、成長、魚体中に含まれる元素含量の測定を行っている。
現在の目標は、博士後期課程へ進学し、海産仔稚魚に必須の海水元素を同定して、その必要量を明らかにしたいと考える。また、既存の自然海水を模倣した人工海水ではなく、海産魚が要求する元素群をもとに新たな人工海水を作成し、陸上養殖産業に寄与したいと考えている。
博士課程後期終了後には、魚類養殖、特に海産魚仔稚魚の生理機構に適合した養殖システムの開発に関する研究や、魚類と環境水中の金属元素蓄積についての研究を続けたいと考えている。
将来的には、環境負荷のない飼育システム、簡便に魚肉タンパク質を供給できる食料増産技術の開発、その普及等に努めたいと考えている。
進学希望先でどのような研究をされているかを詳しく調べること、進学希望先の先生や生徒などと話をすることが大切だと思います。自分が何をしたいのか、また進学希望先ではこれまでどのような研究をされていて、今後はどのような研究をされるのか。話す内容は尽きないと思います。また、現在の指導教員、研究員の方々などと様々な話をすることで自分が何に強い興味を持っているのかを整理することも重要だと思います。
| 海産魚仔稚魚の成長、生残率、全魚体ミネラル含量等に及ぼす海水塩類組成の影響 |
|---|
| 海産仔稚魚の新しい閉鎖型循環ろ過飼育システムのモデルを構築するため、飼育海水における微量元素添加の必須性を検討した。すなわち、蒸留水を用いて微量元素を除いた人工海水、微量元素を添加した人工海水をそれぞれ調製し、自然海水を対照としてトラフグ、カンパチおよびマダイ仔稚魚の成長、生残率、全魚体ミネラル含量等を比較した。 その結果、試験終了時における微量元素無添加区の魚の成長、生残率に大きな問題は観察されなかった。また、微量元素無添加区の全魚体ミネラル含量に関しても、著しく減少した元素は観察されなかった。これより、多くの海産魚仔稚魚は、餌から必要な微量元素を吸収し、その飼育に用いる人工海水には微量元素を必ずしも添加する必要のない可能性が示唆された。 |

私は、学部四年生時の卒業研究で初めて研究の世界に係わり、それからは学会・研究会等において様々な分野で先鋭的な研究を行う研究者の方や学生さんと出会う機会を得ました。そこで交わされるディスカッションは、研究の世界に係わり始めたばかりの私にとって非常に新鮮で刺激的なものでした。卒業研究を始めた最初の頃は、自分が設計した実験デザインによって得られる結果に関心を抱いていましたが、分野を越えた様々な研究者とのディスカッションや実際に関わった研究によって、現在自分が取り組む研究の背景や新たな可能性を感じ、進学を決めました。
多数の個体の集まりである魚の群れは、まるで一つの強力な指示系統の下にあるかのような統制のとれた振る舞い(逃げる時に多数の個体が一斉に泳ぐ方向を変える様)を示しますが、実際に群れを成す個体が、どのようにしてあのような強い行動の同調性を保っているのかは、謎に包まれています。私はこれを明らかにするために、本学水産研究所で養殖されているクロマグロを対象に研究を行っています。現在は、『魚群が遊泳する方向を変える時に、一番初めに方向を変えた個体の行動が、魚群内の他個体にどのように伝播するのか』を明らかにするための実験・解析を行っています。
まずは、現在取り組んでいる研究(魚が何故群れを成すのか、どうやってあのような行動を達成しているのかを明らかにすること)を遂行することを目標においています。将来も、常に好奇心を持ち、自分で新たな課題を見つけてチャレンジし続けられるような研究者になりたいと思います。また、学会や研究会のみでなく、日常的に科学研究に携わる機会の少ない一般の方々にも、自身の研究を通して科学の面白さやその意義を発信できる研究者でありたいと思います。
大学院では、学部生の四年間で学んだものを礎として、さらに専門的な学術理論や技術を学べることと思います。自身の研究に多くの時間を割き、指導教員の先生をはじめ多くの方々と議論し、指導して頂くことで、目的となる事象を解明する過程は、学部の四年間とはまた違うものであると私は感じました。今は、大学院で自分がやっていけるかどうか、不安なこともあると思います。ですが、重要なことは『現在の自分に何が出来るか』ではなく、『どの研究科に行けばどのような事が出来るのか』を知っておくことと、『自分が何をやりたいか』を明確に持つことだと思います。自分の興味の対象であれば、今は難しくて解けないと思うことでも、きっと打開できるようになるのではないでしょうか。
| 統合解析によるクロマグロ幼魚の群行動発達過程に関する研究 |
|---|
| クロマグロの行動は視覚に強く依存しているとの考えから、光刺激と魚群行動の関係を成長段階毎に評価した。また、行動の評価に物理的な解釈を与え、光刺激や個体の成長が、各個体の行動決定因子に与える差異を明確にすることを試みた。それらの結果を統合的に解析することにより、視覚の発達が本種の行動決定因子にどのように作用し、行動を特徴付けるのかを明らかにした。 |